SSブログ

パーシモン小ホール:ウェールズ弦楽四重奏団演奏会 [音楽時評]

12月17日,めぐろパーシモンホール小ホールにウェールズ弦楽四重奏団演奏会を聴きに行ってきました.

私は移転前から東京都立大学に勤めていたのですが,その跡地にできたパーシモンホールには初めて行きました.15時開演だったので,昔懐かしいおそば屋さんでおそばでも食べようと思って出かけたのですが,道路を挟んだおそば屋さんは跡形もなくなっていました.

話を戻しますが,ウェールズ弦楽四重奏団のメンバーは,未だに執着して掲げ続けている2008年ミュンヘンARD国際音楽コンクール3位入賞後,メンバー2名が交替していますから,この入賞歴は書くのなら旧メンバーを明記して書かないと過誤表示になりかねないでしょう.
ミュンヘンから帰国後,入賞メンバーで酷評を受けて,間もなく,第2ヴァイオリンとヒオラが交替してから,スイスに留学しているのです.
今秋には,第7回大阪国際室内楽コンクールに参加して,多くの団体が原発事故の影響を懸念して不参加に終わったなかで,3位に終わったということですから,オヤオヤという気がしないでもありませんでした.

とにかく今日のソワレのメンバーは,
第1ヴァイオリン:崎谷直人
第2ヴァイオリン;三原久遠
ヴィオラ:     原 祐子
チェロ:       富岡廉太郎
でした.

プログラムは,
ウェーベルン : 弦楽四重奏のための5つの楽章 Op.5
ウェーベルン : 弦楽四重奏のための6つのバガテル Op.9
モーツァルト :  弦楽四重奏曲 第20番 ニ長調「ホフマイスター」 K.499
        ※※※※※※※※
シューベルト : 弦楽四重奏曲第15番 ト長調 D. 887 
でした.シューベルトが予告では13番「ロザムンデ」だったモノが15番に変更になっていました.「死と乙女」ほどでないにしても,「ロザムンデ」という人気曲を掲げながら,同じシューベルトの他の曲に変更するというのは,聴衆には不親切だと思われてなりません.

ウエーベルンは,いずれも無調音楽ですが,5つの楽章も,6つのバガテルも小品をまとめたモノで,それぞれの楽器がピチカートや短いボーイングで音を並べるような音楽でしたから,演奏は斬新で,その限りでは楽器間のバランスもまったく問題ありませんでした.

しかし,モーツアルト,シューベルトでは,やはり楽器間,演奏者間のバランスが気になりました.スイス留学でずいぶん改善はされたと思いますが,やはり第1ヴァイオリンとチェロが目立つ点は基本的には変わっておらず,問題はその2つが決して美しい音を出していたとはいえなかったことです.第1ヴァイオリンはシューベルトで音を上ずらせる場面がありましたし,チェロが主役を占める場面では,音が単調で,アンサンブルのアクセントが欠けていました.

あと,細かなことですが,ウェーベルンの第2曲の2曲目が終わった時点で,ヴィオラが弦の張り替えに時間を空けた場面がありましたが,通常はこうした場合,曲の冒頭からまとまった曲としてちゃんと聴かせるべきではなかったでしょうか.若いから至らなかったでは済む年代とも思えませんが.

なお,小ホールは,多目的ホールとしてはたいへん良く出来ていて,クラシックの音響面でも,首都圏内では抜きんでて,たいへん良いホールだと思いました.元の職場跡にこれだけの大・小ホールが作られたことを嬉しく思いました.大いに活用して貰いたいモノです.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。