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紀尾井ホール:伊藤恵ピアノ・リサイタルの好演 [音楽時評]

ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学ハノーファー国立音楽大学で学び,1983年第32回ミュンヘン国際コンクール・ピアノ部門の優勝者として,ヨーロッパでの活躍歴も豊富な伊藤恵の演奏会を聴きに,紀尾井ホールに出かけてきました.
1959年1月6日生まれといいますから,今が円熟期といえるのでしょうか.

シューマンが好きな作曲家と公言して来た人で,シューマンのピアノ作品全曲録音を完成させたことでも知られています.

近年はほぼ毎年4月29日に紀尾井ホールでのリサイタルを開いている人ですが,今年は,ブラームスと細川俊夫,それにシューベルトでした.

プログラムは,
ブラームス: 3つのノインテルメッツオ op.117
ブラームス: 4つの小品 op.119
             ※※※※※※※※
細川俊夫:  ピアノのためのエチュード1 ー2つの線ー
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960
でした.

最初の3つのインテルメッツオの第1曲は,ブラームス自身が「自分の悲しみの子守歌]と述べたといわれる曲で,その趣旨の民謡詩が楽譜に記されているそうです.慰めるような美しさを持った曲です.第2曲は,孤独感に埋められた曲,第3曲は陰鬱さを持った曲です.晩年の作品で,透明感のある和声,伊庭のリズム感で統一されています.

4つの小品はブラームス最後のピアノ作品で,クララ・シューマンに贈られた曲です.第1曲は憂鬱と官能的色合い持った曲,第2曲は孤独感溢れる曲,第3曲は軽快な曲,そして第4曲は以前に着想された曲で埋められたようで,勇壮に始まって優雅に終わります.

伊藤恵さんがたいへん丁寧に想いを込めて弾いておられたのが印象的でした.

細川俊夫は昨年のブゾーニ国際コンクールの課題曲として書かれた曲を補作してエチュード1として決定版として今日の演奏会で初演されたモノです.作曲者のノートでは,音の書道を「2つの線」,旋律ラインで描こうとしたモノと説明されている,興味深い曲です.
演奏後,細川さんがステージに上がって挨拶されていました.

シューベルトは,一昨日ブラックショウで聴いた曲ですが,伊藤さんがそこはかとなく放つ日本的情感が,シューベルト最後のピアノ・ソナタに込められた情感に溶け込んだ感じで,昨年11月の内田光子に劣らない名演だったと思います.
ただ,内田光子のように,第19~21番を纏めて弾く機会を是非作って欲しいと思いました.

演奏会は若い学生さんが半数くらいを占めながら,それでも85%位の入りではなかったでしょうか.
東京芸術大学教授と桐朋学園大学特任教授を兼任されているようですから,あるいは9連休などは避けられた方が賢明だったかも知れません.

来年も,既に,4月29日の紀尾井ホールでのリサイタルが予定されているようですから,またの好演を楽しみにしたいと思います.


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