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武蔵野文化小ホール:ホジャイノフ(pf)の好演 [音楽時評]

武蔵野文化会館小ホールに,2010年Chopin International Competition の入賞者ニコライ・ホジャイノフのリサイタルを聴きに行って来ました,

このCmpetition では,本命が分からないほど混戦でしたが,マルタ・アルゲリッチの強い推薦で久し振りの女性優勝者,アブデーエワが栄冠を勝ち得た外は,トリフォノフが3位(翌年のチャイコフスキーで優勝),5位まで入賞者が出ましたが,6位は該当者なしで,しかし,入選者の中にも素晴らしい人が残って話題を集めました.
その1人,最年少で1992年生まれのニコライ・ホジャイノフが,武蔵野でのリサイタルと川崎での東京交響楽団のソリストとして来日したのです.

プログラムは,
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
ラフマニノフ:   練習曲集「音の絵」作品33より 第6曲 変ホ短調
プロコフィエフ:  ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 作品83
       ※※※※※※※※
ショパン:         ボレロ ハ長調 作品19
ショパン:         バラード第2番 ヘ長調 作品38
シューベルト:   幻想曲 ハ長調 D760 「さすらい人」
でした.

先日の日経ホールでのルビャンツエフ・ピアノ・リサイタルと冒頭の2曲が似通っていましたが,演奏内容はホールの音響の良さも手伝って,ホジャイノフが断然上でした.

ベートーヴェンでは,曲想を良く理解して,着実な構想力を明快にしながら,緩ー急ー[緩・Fuga・急]の3楽章を,弱音から強音まで幅広く表現しながら,闊達に好演してくれました.

ラフマニノフも短い曲でしたが,明快な演奏でした.

プロコフィエフのソナタ第7番は,戦争ソナタと呼ばれる第6~第8番の中でも,名ピアニスト,リヒテルの好演もあってスターリン賞を受賞した傑作で,急ー緩ー急の3楽章構成に凝縮された緊迫感溢れる曲で,ロシア人ピアニストとして自家薬籠のモノとして,素晴らしい演奏を展開してくれました.
21世紀に現れた前世紀よりも一段レベルが上の若手ピアニストの1人であることを顕示してくれたと思います.

後半のショパン2曲は,ショパンCompetition で弾いた曲だったようで,いずれも見事な演奏でした.

最後のシューベルトの幻想曲は,実質は4楽章構成ですが,全楽章が続けて演奏される名曲です.その絢爛たる好演奏はまさに今夜の圧巻でした.ベートーヴェンも好演でしたが,緊張が取れて実力をフルに発揮した点で,シューベルトが勝っていました.

私はアンコールは聴かない主義なのですが,席を立ち損ねて1曲だけ聴いたのは,記憶に間違いがなければ,リストのメフィスト・ワルツだったと思いますが,奔放に実力を発揮した好演だったと思います.

先日もそうでしたが,武蔵野文化会館がこうした新世紀若手才人の演奏機会を作ってくれたことには謝意を表したいと思います.

 

 

 

 


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