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シャネル・ネクサスホール須藤千晴(pf)リサイタル [音楽時評]

8月20日,銀座シャネル・ネクサスホールに,シャネルピグマリオン・コンサートを聴きに行ってきました.今日は須藤千晴さんのピアノ・ソロだけという予告だったのですが,ヴァイオリンの枝並千花さんが加わったDuo の演奏がプラスされて,通常はほぼ1時間のコンサートが1時間半になっていました.

須藤千晴さんは東京芸大出身で,ドイツ,フランスで研鑽を積み,いくつかのコンクールに入賞後,2008年には紀尾井ホールでソロ・リサイタルを実現した才人です.                                                           枝並千花さんは,桐朋学園出身,いくつものコンクール入賞歴を重ねて,いったん東京交響楽団に入団しますが,再びソロ・活動に復帰して活躍中です.

プログラムは,
                                                                  モーツアルト:  ピアノ・ソナタ第3番 変ロ長調 K.281  
シェーンベルク: 3つのピアノ小品 11 より2曲 
シューベルト:  4つの即興曲 142/D.935 より3,第4曲 
              ※※※※※※※※
R,シュトラウス: ヴァイオリン・ソナタ 作品18 変ホ長調 
でした.

このお2人の中では,私は須藤千晴さんは何度目かになりますが,今日の選曲には興味を感じました.古典派のモーツアルトの落ち着いたソナタのあとに,いきなり12音音階に入る前の無調のシェーンベルクを並べ,そのあとにロマン派に限りなく近いシューベルトの晩年の傑作,即興曲を持ってきたことです.その意欲は高く評価したいと思います.ヴァイオリンが加わらなければ,即興曲 D.935の4曲全部を弾いてくれたのではないかとちょっと残念でしたが,この4曲に関しては20世紀の大ピアニストがたいへん個性的な名演奏をCDに残しており,また来日の機会に聴かせる例も少なくありませんでした.                                                                   それらと云々するのは控えますが,須藤さんなりに思い切って取り上げた到達点は大いに賞賛したいと思います.

さらにシュトラウスのヴァイオリン・ソナタ;が演奏されて,今日のプログラムはいっそう厚みを増しました.とりわけ,作曲者が何故ピアノとヴァイオリンのためのソナタとしなかったかと疑問を関するほどピアノの比重が高いのですが,このいわばDuo  における須藤さんのピアノはたいへん見事だったと思います.
枝並千花さんのヴァイオリンは,私は前に1度聴いたかどうかという記憶ですが,須藤さんとちゃんと渡り合っていたと思います.

来週の土曜日にもシャネルが予定されていますが,楽しみになっています.  


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サントリーホール:読響サマーフェスティバル三大協奏曲の夕べ [音楽時評]

8月19日,サントリーホールに読売日本交響楽団サマーフェスティバル三大協奏曲の夕べを聴きに行ってきました.通常のコンサートは序曲等の短い曲+協奏曲が前半にあって,後半に交響曲といった具合ですから,一般には19時開演です.しかし,今夜は協奏曲3曲でしたから,開演が30分早まって,18時半でした.別に三大交響曲の夕べというのもあって,同じように18時半開演になっています.結構,1曲目を聞き逃して入ってきた人がありましたが,それだけお値打ちなコンサートですから,きちんと予定されるとよいでしょう.

三大協奏曲のソリストは,若手実力者を揃えた堂々たる顔ぶれでした.                              ヴァイオリン: 川久保賜紀(2002年チャイコフスキー・コンクール1位なしの2位)                        チェロ:     遠藤真理(第72回日本音楽コンクール1位ほか,ヨーロッパで入賞歴)                     ピアノ:     三浦友里枝(第47回マリア・カナルス国際コンクール,ピアノ部門第1位)                    といった俊英揃いです.

プログラムは, 
                                                                 メンデルスゾーン:  ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 
ドヴォルザーク:   チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
                  ※※※※※※※※                                                                             チャイコフスキー:  ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 作品23 
でした.

前半の2曲はメンコン,ドボコンといえば理解される超有名曲ですし,チャイコフスキーはヴァイオリンもピアノも有名なのでチャイコンでは通じませんが,チャイコフスキー・コンクールの本選課題曲であり,今年のピアノ部門優勝者トリフォノフが,9月にサントリーホールでのガラ・コンサートで弾くのが今から楽しみです.

超有名曲ですからいちいち説明しませんが,まず,3曲とも転調は別として基本が短調だったことに気がつきましたし,3曲とも急ー緩ー急の3楽章構成です.                                                   メンデルスゾーンの曲では冒頭の2小節目からソロ・ヴァイオリンの美しい旋律が入ります.形式美と旋律美の絶妙なバランスで終始し,しばし美しいメロディが忘れがたく耳に残ります.

ドヴォルザークの協奏曲は,完成はアメリカからチェコに帰国してからで,ボヘミヤの情緒が色濃く散りばめられています.チェロのソロ・パートは比較的高音に傾いて,たいへん美しい旋律であまりにも有名です.この曲の名手ヨーヨーマが今秋この曲を東京で弾く予定が組まれています. 
川久保さんのヴァイオリンの後だっただけに,チェロの音量の豊かさが耳に残りました.ただ,この曲で読響の管楽器が時に不揃いだったのが残念でした.

ピアノ協奏曲は,華麗さとメランコリーが同居した名曲ですが,ピアノの手の動きがかなり速く活発に鍵盤を駆け巡るのが見る目を楽しませます.やや小柄な三浦さんには,鍵盤を一杯に使った打鍵がなかなか大変だったと思います.

3人共,名演だったと思いますが,必ずしも個性的ではなかったと思います.                           その点では,繰り返しになりますが,20世紀の巨匠のレベルを超えたといわれる21世紀の逸材,トリフォノフが,この曲をどう弾きこなすのだろうと考えさせられました.

 
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