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トッパンホール:シュタイヤーのゴールドベルク変奏曲 [音楽時評]

2月9日,トッパンホールにアンドレアス・シュタイヤーのチェンバロ独奏による「ゴールドベルク変奏曲」を聴きに行ってきました.曲名は,正式には,アリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲 (BWV 988)です.

この曲は,私のブログでは,ディナースティンのピアノ独奏で,武蔵野文化会館小ホールで聴いたモノを絶賛した報告を書いています.                                       演奏の難しさから長らく日の目を見なかったこの曲に一躍光を当てたのは,ワンダ・ランドフスカのチェンバロ演奏の録音でしたが,20世紀後半に,奇才グレン・グールドがピアノ演奏で録音し,その素晴らしさがいっそうこの曲を有名にした歴史があります.

始まりと終わりに同じアリアがあって,その間にほとんどト長調に統一された30の変奏曲が,1度から9度までの9つのカノンに区切られて最後の変奏グループは民謡を含んだクオドリペットで纏められて,30曲になるのです.                                             繰り返しを全然やらなければおよそ40分で終わりますが,丁寧に繰り返しを入れると90分に及びます.今夜は90分版でした.

たいへんこじんまりしたホールなのに,ちょっと耳が慣れるまでは少し音がもの足りませんでしたが,第3変奏曲くらいから,結構,豊かな響きに変わってきました.                       1曲,1曲をまことに丁寧に,表情豊かに弾いてくれましたから,全体としてはたいへん聴き応えがありました.                                                      ただ,2010年にこの曲のCDを出しているのですから,これだけ規則性を持った30の変奏曲と前後のアリアを,暗譜で弾くのはさして難しいことではなかったと思うのですが,チェンバロに譜面台を置いて,それを自分でめくりながら弾いていたのはいささか目障りでした.                  

今夜がシュタイアー・プロジェクトの5)ということですから,これからも彼の多彩な側面を知ることが出来るモノと期待します.

 

 


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