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小澤征爾への期待 [音楽時評]

今年は松本音楽祭のチケットを取り損なったのですが,幸いNHKが9月6日にその練習風景も含めた小澤征爾特集をやった後,オーケストラBプログラムの初日を生放送してくれました.

ちなみにオーケストラAプロは,新聞紙上で酷評されていましたが,今夜のテレビで見て,サイトウキネンというにはあまりにもメンバーが新しくなってきた感じがしました.
元々は斉藤秀夫先生の教えを受けたり,その孫弟子が集まっていたのが,今ではオーボエの宮本文昭の後に東京芸大出の古部賢一が座っていたり,3曲ともコンマスが代わったのですが,2人目は海外参加者でした.また,管楽部門には特に海外参加者が目立ちました.

昨年まで欠かさず松本に行っていましたが,小澤征爾が昔からの細かな指揮ぶりをみせていたことに,昨年のベルリオーズ「幻想交響曲」についてのブログで,疑問を書いた記憶があります.

今回の特集のなかで,マーラーの巨人の練習風景をやっていましたが,そこでも相変わらず非常に細かな指示をしていました.
ただ,興味深かったのは,小澤征爾が,ここは指揮者が指揮をしない箇所だから,各パートが自由に入ってきて欲しいと指示していた場面がありました.
また,ウイーン国立歌劇場の歌手が全体リハーサル・ゲネプロのなかで,「オーケストラを見てびっくりした,小澤が今まで見たこともないほど細かな指揮をしていたからだ」と述べた所があり,やはりそうかという感想を持ちました.

小澤征爾は今年約2ケ月,過労からの腰痛で休演し,オケや出演者,聴衆に大きな迷惑をかけています.
彼の今年のスケジュールをコピーすると次のようになっています.

小澤征爾 2008年公演スケジュール
5月16日 サントリーホール 新日本フィルハーモニー交響楽団
      モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K136
      モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K314    オーボエ:古部賢一
      チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

17日 すみだトリフォニーホール 新日本フィルハーモニー交響楽団
      ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番     ピアノ:上原彩子
      チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調「悲愴」
※19日 ザ・シンフォニーホール 
     20日 三重県文化会館 ・
     同一プログラムを腰椎椎間板ヘルニアによりキャンセル 

28, 29, 30日 水戸芸術館 水戸室内管弦楽団
       モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」序曲 K588
       モーツァルト:ホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K447(28日・29日) ホルン:ラデク・バボラク
       モーツァルト:ホルン協奏曲第4番 変ホ長調 K495(30日)     ホルン:ラデク・バボラク
       細川俊夫:ピアノとオーケストラのための月夜の蓮          ピアノ:児玉桃
       ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 作品60
※腰椎椎間板ヘルニアによりキャンセル 

6月3日(ミュンヘン)
5日(ウィーン)
8日(フィレンツェ)
10日(マドリード)
12日(パリ) 水戸室内管弦楽団
同一プログラム
※腰椎椎間板ヘルニアによりキャンセル 

6月22, 26, 30日 ウィーン国立歌劇場 ウィーン国立歌劇場
     チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」
※腰椎椎間板ヘルニアによりキャンセル


7月 21日 神奈川県民ホール
     24日 愛知県芸術劇場
     27日 アクトシティ浜松
     30日 東京文化会館
8月 2日 びわ湖ホール 小澤征爾音楽塾
      J. シュトラウスII世:喜歌劇「こうもり」

8月 26, 28, 31日 まつもと市民芸術館 サイトウ・キネン・フェスティバル松本
9月 2日       まつもと市民芸術館   サイトウ・キネン・フェスティバル松本
       ヤナーチェク:「利口な女狐の物語」

9月 6, 8, 9日 長野県松本文化会館 サイトウ・キネン・フェスティバル松本
   オーケストラ コンサート <Bプログラム>
     モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K318
     武満徹:ヴィジョンズ
     マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」

9月 30日 ウィーン国立歌劇場 ウィーン国立歌劇場
10月 4, 8, 13日 ウィーン国立歌劇場 ウィーン国立歌劇場
     チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」

10月 26, 29日 神奈川県民ホール ウィーン国立歌劇場
11月 1日    神奈川県民ホール ウィーン国立歌劇場
ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」

11月 21, 24日 メトロポリタン歌劇場 メトロポリタン歌劇場
チャイコフスキー:歌劇「スペードの女王」

11月 28, 29日 ボストン・シンフォニーホール ボストン交響楽団
     メシアン:神の現存の三つの小典礼
     ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14


この中で,小澤征爾が最も強く期待しているのは,2002年に私にいわせれば追われたボストン交響楽団への6年ぶりの定期公演への復帰とそれに先立つメトロポリタン歌劇場公演だと思います.
タングルウッド音楽祭には,マーラーの「復活」を日本で4度も公演練習して乗り込んで,そこで辞任後初めてボストン交響楽団を振り,名誉音楽監督の称号を受けた経緯があり,
後任者のジェームス・レバイン(メトロポリタン歌劇場の音楽監督でもある)から誘われたメトロポリタン歌劇場は,ウイーンで公演を重ねてから乗り込む訳ですから大丈夫でしょうが,
ボストン交響楽団と予定されるベルリオーズ「幻想交響曲」は去年のサイトウキネンでやっていますが,メシアンはなかなか難しい曲だと思います.

しかし,私の記憶では,小澤征爾は,短い間NHK交響楽団の指揮者だった当時,果敢にメシアンのトゥランガリラ交響曲を取り上げ,メシアンと共に来日したその夫人イヴォンヌ・ロリオにピアニストとして参加して貰っており,メシアンに関しては自信を持っていると思います.
記録によれば,
1962年7月4日 トゥランガリラ交響曲(日本初演)小澤征爾指揮NHK交響楽団、イヴォンヌ・ロリオ(ピアノ)本荘玲子(オンド・マルトノ)、オリヴィエ・メシアン監修 東京文化会館大ホール
とあります.小澤征爾が「トゥランガリラ交響曲」の本邦初演者であったことは特記すべきことだと思われます.

ながながと書きましたが,私が期待したいのは,メトロポリタン歌劇場もボストン響も名人や芸達者揃いなのですから,細かな指揮はやらないで,できるだけ歌手や楽員の自発的演奏に任せることです.









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