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新日フィル:サントリー定期,カンブルラン,シェーンフェルディンガー(グラスハーモニカ) [音楽時評]

サントリーホールに,初めての組み合わせのカンブルラン指揮の新日フィルを聴きに行ってきました.
日本初演というウイドマン作曲の「アルモニか」が2曲目に演奏され,それにたいへん珍しいグラスハーモニカのソロにシェーンフェルディンガーが加わっていました.

プログラムは,
モーツアルト:交響曲 第33番 変ロ長調 K.319
ウィドマン:アルモニか(2006)(日本初演)
        ※※※※※※※※
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(ノバーク版第2稿)
という,たいへん意欲的なものでした.

この若いアルミンクやハーディングと同年代の指揮者は,なかなかの才人だと思いました.

モーツアルトの33番は,ザルツブルグで作曲され,初め3楽章だったものに「メヌエット」を加えて4楽章の曲になり,モーツアルトの「田園交響曲」と称されるほど穏やかで綺麗な曲でしたが,カンブルランは巧みに新日フィルを操って,好演してくれました.

次のアルモニかのために少しステージのやりくりに時間を取られましたが,ほぼ中央にガラスのハーモニカが置かれ,指揮者を挟んで反対側にアコーディオンも準ソリストとして加わっていました.
これらが加わったユニークな音響が一つの特徴ですが,冒頭と最後に消えていく場面で特にこの楽器が活躍しました.
全体に一風変わった音が豊富で,音響の中に遊ぶような感覚のうちに曲を終えました.

面白かったといえば確かにそうですが,考えてみますと,20世紀後半以降の新しい曲は,しばしば新しい楽器や在来楽器の新しい変わった弾き方に依存して新鮮さを出しているのが気になります.
武満もそうですが,武満の場合は古来の民族楽器を加えた場合が多いのですが,何か風変わりなものを持ち込んで新鮮さを出さねばならないほど,音楽の世界は行き詰まっているのでしょうか?

丁度,絵画世界が行き詰まって,抽象画や幾何学模様になり,ついには立体化,三次元化,構造物化しているのに較べると,音楽の作曲法はまだまだピカソ並みの限界状況のなかに埋没しているように思われてなりません.

なお,作曲者(クラリネット奏者だそうですが)がステージに呼び上げられて,何度もカーテンコールを受けていました.

後半のブルックナーの「ロマンティック」は,金管が少し弱かったのを別にすれば,指揮はたいへんよく曲の構成を掘り下げて,非常に構成力豊かに,この初めの主題を全体にひきずったような曲を,すごくドラマティックに聴かせてくれました.たいへん名演だったと思います.


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