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朝日カルチャーセンター:宮谷理香(pf) [音楽時評]

7月29日午後,朝日カルチャー・センターに宮谷理香さんのお話しと演奏を聴いてきました.

演奏されたのは,
エチュード ハ短調 作品10の12 「革命」
ノクターン 第20番 嬰ハ短調 (遺作) WN37  
バラード 第1番 ト短調 作品23
でした.

宮谷さんは1995年のショパン・コンクールで第5位に入った人です.
ただ,別に聴いた話題としては,本選会で協奏曲の伴奏をするオーケストラと事前に練習したことが発覚して,かなり高い代償を払わされたという話が流れています.

ショパン・コンクールへのアドバイスとして,
ショパン・コンクールはおよそ1ヶ月かかるので,体力作りが重要ということでした.
また,ショパンはソナタ,協奏曲以外にも,ポーランド舞曲,ポロネーズ,マズルカのほかワルツ,それにエチュード,前奏曲,バラード,スケルツオなど,実に多様な作品を作曲しているので,どれにも対応できるように幅広い練習が欠かせないことが示唆されました.

それから表現力を豊かにする努力が必要で,そのためのいくつかご自分の経験を話されました.
その1つは,左手の伴奏に乗せてメロディーを中指1本で弾いてみること,
また,右手の親指と人差し指と中指,薬指,小指とを分けてメロディーを弾いてみること,などを示唆されました.
そのいずれについても,バラード第1番からいくつかのそれに相応しい小節を挙げて,実演して見せ,ピアノ練習に変化を持たせることを奨めていました.

質疑のなかで,専門的なことはやめておきますが,バラード全4曲の中で好きなのは?という質問に,4番が好きだけれど,女性的という点で,3番も同程度好きだと話していました.質問者も,小山実稚恵さんは3番が好きだと語っていたと応じていました.

演奏はどれもたいへん好演でしたが,少しピアノの高音部の響きが悪かったのが気になりました.調律の問題というより,ピアノと部屋の制約だったのだと思います.

ショパン・コンクールでは,これまで日本人ピアニストの優勝者はなく,これまでの入賞,入選歴は,

* 第3回 (1937年) - 原智恵子(第15位入選、特別聴衆賞)(日本人初の出場)
* 第5回 (1955年)- 田中希代子(第10位)(日本人初の入賞)
* 第7回 (1965年)- 中村紘子(第4位)
* 第8回 (1970年) - 内田光子(第2位、銀メダル)
* 第10回 (1980年) - 海老彰子(第4位なしの第5位)
* 第11回 (1985年)- 小山実稚恵(第4位)
* 第12回 (1990年)- 横山幸雄(第3位、銅メダル)、高橋多佳子(第5位)
* 第13回 (1995年)- 宮谷理香(第5位)。
* 第14回 (2000年)- 佐藤美香(第6位)。
* 第15回 (2005年)- 関本昌平、山本貴志(ともに第4位)

と記録されています.
もう故人もいますが,どの人をとっても,今なお広く知られ,多くは現在も幅広く活躍している人々です.

参考までに,1960年からの優勝者を挙げておきますと,

# 第6回 (1960年) - マウリツィオ・ポリーニ(イタリア)
# 第7回 (1965年) - マルタ・アルゲリッチ(アルゼンチン)
# 第8回 (1970年) - ギャリック・オールソン(アメリカ)
# 第9回 (1975年) - クリスティアン・ツィメルマン(ポーランド)
# 第10回 (1980年) - ダン・タイ・ソン(ヴェトナム)
# 第11回 (1985年) - スタニスラフ・ブーニン(ソヴィエト連邦)
# 第12回 (1990年) - 該当者なし(第2位はケヴィン・ケナー(アメリカ))
# 第13回 (1995年) - 該当者なし(第2位はフィリップ・ジュジアノ(フランス)とアレクセイ・スルタノフ(ロシア))
# 第14回 (2000年) - リ・ユンディ(中国)
# 第15回 (2005年) - ラファウ・ブレハッチ(ポーランド)
と錚々たる顔ぶれが並んでいます.(ネット上で事実の記述として ウィキペディア を参照しました).
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