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シャネル・ピグマリオン・コンサート:江島有希子(vl),矢野玲子(vl) [音楽時評]

26日土曜日,シャネルのマチネーとソワレをダブって聴いてきました.

マチネーの江島有希子さんは桐朋学園出身で,ティボール・ヴァルガ,アルベルト・クルチ,ストラディヴァリュース等の国際バイオリンコンクールに上位入賞経験を持ち,YBS国際コンクールでは1位入賞を果たしている若手です.
多くの音楽祭への出場歴も重ね,オーケストラとの共演歴も重ね,現在は紀尾井シンフォニエッタのシーズン・メンバーです.
シャネルは2007年の参加者でしたが,今回,改めて出演していました.なお,伴奏者は,同じシャネル経験者の新井由佳梨さんでした.
9月上旬には同じコンビで渋谷電力館でジョイントで,10月には新井さんが横須賀で単独で,それぞれリサイタルを予定されているようです.

今回はラベルとグリーグのヴァイオリン・ソナタをじっくりと聴かせてくれました.
ラベルは古典的な厳格な形式を追いながら,中間楽章ではジャズの雰囲気を醸しており,第3楽章では超絶技巧を要求しています.
江島有希子はこの曲を誠実,端正に,そして正確に好演を聴かせてくれました.

グリーグの第3番は,一転して,民族的な要素をふんだんに取り入れたロマン主義的スタイルですが,第3楽章はソナチネ形式から激しいコーダで締めくくられます.
彼女は,ここでも着実な演奏で,たいへん好演してくれました.
フランスとノルウエイの曲をたいへん楽しみました.
なおアンコールはフォーレの「夢のあとに」で,しみじみとした名演でした.

ソワレの矢野玲子はパリ国立高等音楽院の第2課程から現在は第3課程に在学中で,ティボール・ヴァルガ,ジュネーブ,ベオグラード国際音楽コンクールなどに参加し,ティボール・ヴァルガとベオグラードで優勝しています.

矢野玲子はたいへん意欲的なプログラミングで,前半に約40分を要する民謡を取り入れて自由奔放な難曲のバルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番,後半は,今度はたいへん歌心豊かでそのメロディを次々と弾きこなさねばならない超絶技巧を要するシューベルトの「大幻想曲」と呼ばれる幻想曲でした.

矢野玲子はフランス留学先からピアニストを連れ帰って協演していましたが,このピアニスト,セルゲイ・クズネツォフがなかなかの妙手で,実に良くこの2つの難曲のソロを支えていました.多分,矢野玲子との室内楽経験があるのでしょう.

矢野玲子はつい先日今週の23日に新日フィルとメンコンを協演したばかりですし,今月末には大阪センチュリーとショスタコーヴィッチの協奏曲を,9月上旬には日フィルとサン=サーンスやサラサーテの名曲を協演する予定で,既にヨーロッパ各国や日本でも着実に演奏歴を重ねている俊才ですが,シャネルでここまで難曲を聴かせてくれたのにはたいへん感激しました.

江島有希子さんが自分で納得のいく曲を誠実に弾いて聴かせる俊才なら,矢野玲子さんは凄いチャレンジ精神に富んだ俊才という印象でした.

アンコールがモーツアルトのヴァイオリン・ソナタ(ケッフェル番号は聞き逃しましたが)から穏やかな第2楽章でした.
なんだか時代を遡って聴かせてくれたようです.

もうひとつメジャーな国際コンクール歴を重ねると,さらに広い展望が開けるのではないかと大いに期待しています.
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