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新日フィル:クラシックへの扉,指揮:アレクセーエフ [音楽時評]

4月19日に新日フィルのクラシックへの扉シリーズを聴きに,トリフォニー・ホールへ行ってきました.

今日は6年ぶりのニコライ・アレクセーエフの指揮(前回はショスタコービッチの交響曲第7番)で,彼の母国ロシアの作曲家チャイコフスキーからの2曲でした.
横山幸雄のピアノでピアノ協奏曲と交響曲第4番でした.

まず,ピアノ協奏曲の最初から,アレクセーエフはこの間たいへん成長を遂げた指揮者だと思いました.

チャイコフスキーを含むロシア音楽に特徴的な金管の響き,ff と ppの音の幅をよくトレーニングして,木管もよく響かせ,弦楽器とのバランスがたいへんよく聴こえました.
ピアノ協奏曲の第1楽章はややゆっくりと入り,スケールが大きくて華やかな第1楽章の間に,見事にピアノとオーケストラの緊密な関係を作り上げ,第2楽章,第3楽章とピアノとの緊密な関係を維持し,オケを鳴らすところでは高らかにオケを響かせ,ピアノが入ると,ぐっと押さえてくっきりとピアノを浮かび上がらせて横山さんに寄り添い,この曲の名演を引き出していました.オーケストラの各パートがかなりよく揃った音を響かせていたのが目立ちました.

その弦楽器,木管,金管楽器のバランスをいっそうよく示してくれたのが第4番でした.
この曲は,同性愛者であったチャイコフスキーが社会的対面のために女性からのプロポーズに押されて結婚しながら,2ヶ月でそれが破綻し,いわば放浪のなかにオーケストレーションされたといわれ,チャイコフスキー自身がパトロンのメック夫人に曲のテーマとして「運命」と書き送ったとされています.

冒頭のファンファーレが曲全体を表しているといわれますが,アレクセーエフは見事な金管のファンファーレを引き出し,アンダンテの第1楽章,アンダンティーノの第2楽章を通して,木管楽器群の響きもまことに見事に織り込んでいました.
第3楽章では弦楽器群のピチカート中心ですが,これもコントラバスに至るまでよくバランスした音を響かせ,終楽章では,見事な管と弦の響きをダイナミックに盛り上げて,全曲を高らかに締めくくりました.

名曲中の名曲ですが,希に見る名演だったと思います.

アレクセーエフは,来週の24日に,
シチェドリン作曲の「ショスタコービッチとの対話」
チェロにアルバン・ゲルハルトを迎えて,チャイコフスキーの「ロココ風の主題による演奏曲」
そして,ショスタコービッチの交響曲第11番「1905年」,
をサントリー定期で演奏することになっており,その演奏が大いに楽しみになりました.
ご関心の方は,ぜひ聴衆に加わられるようお奨めしたいと思います.




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