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【論説】東京のオペラの森:音楽産業と公共団体 [論説]

東京のオペラの森のオペラ公演打ち切り問題について
東京のオペラの森を巡って.オペラ公演は2008年で打ち切りになることが報じられ,それが滋賀県のびわ湖ホールや大阪府のセンチュリー・オーケストラの財政削減とダブらせて,一部に石原都政の財政削減として論じられている点に,私は,反論しておきたいと思います.
小澤征爾と石原慎太郎都知事の親密な関係は,NHK交響楽団が小澤の第9をボイコットしたいわゆる小澤征爾事件当時,石原さんが小澤支持に回って,さまざまな支援をしたこと以来続いているもので,東京のオペラの森のために強引に東京文化会館の日程を空けさせたことからもそれは窺い知ることが出来ます.
そうだとすると,東京のオペラの森のオペラ公演打ち切りは,むしろ小澤征爾が2008年で実質的にはウイーン国立歌劇場音楽監督を退くことと関わっていると思われます.

私は前のブログで,ティーレマンとミュンヘン・フィルについて書いた中で,「ティーレマンは不評を買っていた小澤征爾のウイーン国立歌劇場音楽監督の後任をウエザーメストと争っていた人ですが,やはりウイーン出身のオーストリア人,ウエザーメストに決まり,ウエザーメストは現在のクリーブランド交響楽団音楽監督と兼任で実質的に小澤の2010年の任期を待たず,2008年から小澤に代わってウイーン歌劇場の主要プログラムを指揮することになっています.」と報告しました.

小澤征爾は,オペラ公演の重要な部分を占める「演出」を,ウイーン国立歌劇場音楽監督の地位を活用して,これまでヨーロッパのオペラ劇場と共同演出にして節減してきたのですが(最近ようやく日本国内でも「演出」の共同化が進められていますが,その先鞭をつけたのは小澤征爾です),音楽監督の実権がウエザーメストに移行することから,2009年以降にはそうした共同演出の形を取ることが不可能に近くなったのが,東京のオペラの森からオペラが消えるおそらく最大の理由だと考えます.

日本の音楽産業家達が寄ってたかって4面舞台などと大風呂敷を広げさせたびわ湖ホールが,東京から若杉弘や畑中良輔の天下り先に利用され,沼尻さんに代わって一挙に財政削減のターゲットになったのは,日本の古い体質の音楽産業が自ら招いた結果だと思われますが,東京のオペラの森の問題は,小澤征爾が石原さんの期待にもはや応えられなくなったと自覚したことに主因があると考えるのです.

その辺を混同した議論をしないで,小澤征爾を日本に融け込ませようとしなかった畑中良輔,五十嵐喜芳を初めとする日本の古い音楽産業体質の問題にケリをつけるには,半ばわが国音楽産業が作り出した地方自治体の箱物行政の行き詰まりを,道路行政の行き詰まりと合わせて清算することが望ましいと考えるものです

NHK交響楽団に代表される高すぎる音楽会チケット代は,N響の場合には,親方日の丸の受信料据え置き時代からの,理事長と常務理事のNHKからの天下りに象徴される肥大化した組織,事業(たとえば何度も休刊しては季刊から月間に不死鳥の如く復活して実質抱き合わせ販売される「フィルハーモニー」を,無料進呈と称してはばからない),そして給与体系に大きな問題があると考えます.

NHKの受信料納付率はデジタル化,双方向化(画面を受信料納付のお願いで埋めてしまう機能を与えることになる)を契機に近年中に100%に限りなく近づくでしょうが,それを見通しながら少しも値下げしないNHK受信料には呆れざるを得ません.私は公共放送に高い受信料を払わされている外国の例を寡聞にして知りません.

それは,高齢者にコスト意識を持って貰うことを狙ったはずの後期高齢者医療保険料を介護保険料共々年金から天引き徴収して,高齢被保険者の利便性のためと強弁する首相や厚生労働省を清算できないようでは,わが国では無理な相談かもしれませんが.....

年金は本来保険金拠出を基盤にして全額を受け取る権利が高齢者にあり,介護保険制度,後期高齢者医療保険制度が高齢者に便益をもたらす本当に良い制度でありさえすれば,高齢者は受け取った年金からきちんと払うに違いないでしょう!現在は,サービスに自信がないからこそ行われる天引きなのではないでしょうか!!!
権利としての年金から天引き徴収されるのでは,かえって高齢者は,介護保険も後期高齢者医療保険もなにかあまり信頼性のない制度,あるいは利用しなければ損な制度と考えてしまうのではないでしょうか!!!
親の介護にホームヘルパーを頼んでいる家族が,ヘルパーさんにタイムカード記録を押しつけた例を聞いたことがありますが,それではヘルパーさんの人手不足が加速されるでしょう.

同じ批判は明確な根拠が示されないまま払わされるNHK受信料,そこから資金を受け取りながら少しも合理化努力をしないまま在京のどのオーケストラよりも高いチケット代を払わせるNHK交響楽団にも向けられて然るべきでしょう.
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