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超ベテランと新進気鋭の指揮者:ボッセとハーディング [音楽時評]

4月14日と17日の4日の間に,80歳代半ばに近い超ベテランのボッセさん指揮の新日フィルと,31歳という新進気鋭でヨーロッパでも注目を浴びているダニエル・ハーディング指揮のロンドン交響楽団を聞く機会がありました.
新日フィルはなかなか意欲的で,ハイドンの交響曲第86番,ピアノに岸本雅美を迎えたモーツアルト・ピアノコンチェルト第18番,それにワーグナーのジークフリート牧歌,プロコフィエフの古典交響曲という時代のスパンの長い選曲でした.しかしいささか練習不足が見られ,在京オケ随一の名手と目されるホルンが不安定だったり,古典交響曲でいささか不揃いが目立ちました.
新日フィルは4月4日に小澤征爾指揮でパルテノン多摩定期をやっていましたから,そのしわ寄せがあったものと思われます.
新進気鋭のダニエル・ハーディングは本当に斬新な指揮振りを見せてくれました.ひと言でいえばまことにダイナミックな指揮をする指揮者です.リズムとメロディを大事にしながら,まことにメリハリの効いた強弱を使い分けて繰り広げるダイナミズムです.
ドボルザークのスラブ舞曲変ニ長調と新世界の間にツィンマーマンをソリストに迎えたベートーヴェンのバイオリン・コンチェルトが演奏されたのですが,ベートーヴェンではほとんどソリストをリードするほどにオケが鳴り響いたのです.ツィンマーマンが,ソリストがよくやることといえばそれまでですが,ソロの無いときにハーディングの指揮に合わせて第1バイオリンのパートを弾いてハーディングに合わせようとしていたのが印象的でした.
最後のあまりに有名な新世界ですが,それがこれほどまでに堂々たる曲だったのかと目を見張らせるほどダイナミックに演奏されました.やや早めのテンポで第1楽章が堂々と演奏されたあと,さすがに第2楽章はあのイングリッシュホルンの流麗な響に委ねられましたが,第3楽章から第4楽章は再びハーディングの独壇場といってよいほど早めにオケを鳴り響かせながらオケをコントロールし切っていました.
なかでも特別に印象的だったのが,曲の終わりがジャーンとという全体合奏で終わらないで,ジャーンから管楽器の響が音を長引かせながら音を半ば弱めてやや静かに終わらせたのです.これはあの流麗な第2楽章を思い出せばいかにも頷ける終わり方だと思いました.
ハーディングが31歳でこのロンドン交響楽団の主席客演指揮者のポストを得て,次期音楽監督の地位をほぼ確実なものにしただけの実力を遺憾なく発揮してくれた一夜だったと思います.
同夜の音楽会を聞かれた方々からぜひご感想を聞かせていただければ有り難く存じます.


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