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4月13日の音楽会:山田晃子(Vn) [音楽時評]

今夜は私は新日フィルの室内楽シリーズを振って,オペラシティへ山田晃子のバイオリンリサイタルに行ってきました.
前から書いているように,最近,幼少時からヨーロッパで育った若手日本人,特に女性バイオリニストの目覚ましい成長ぶりに,やはり日本とは違う音楽環境の重要性を痛感しているのですが,それを改めて山田晃子さんがまざまざと見せつけてくれました.

最初フランクのバイオリンソナタをやるという折り込みパンフや主催者のメールがあってチケットを求めた部分があったのですが,今夜の改定されたプログラム,「シューベルトのD.408」,伴奏者のピアノ独奏(モーツアルトの幻想曲K.475)を挟んで,「ドビュッシーのバイオリンとピアノのためのソナタ」,そして休憩を挟んで,「バッハのシャコンヌ」,シュニトケの「ショスタコービッチ追悼のための前奏曲(バイオリンと自分の演奏のテープがスピーカーから流れて一部が重奏になる)」,そして最後が「ラベルのバイオリンとピアノのためのソナタ」というプロには十分満足しました.実際バッハのシャコンヌをやってからあのフランクのあまりにも有名は長いソナタをやるのは大変だと思うからです.

彼女の最大の長所は,バイオリン(ストラディバリ1729年の「レカミエ」)を決して大きく鳴り響かせようとしないで,武満メモリアルという大ホールと全開にしたピアノを向こうに回して,柔らかい音を隅々まで響かせる見事なまでの表現力,芸術性にあると思います.あのシャコンヌをぎりぎり強奏しないで,すごく柔らかい音で見事に弾ききったのには正直言って驚きました.いわゆるガット弦を前提に作曲されたはずのこの曲ですから,柔らかい音はまさにバッハそのものだといえるでしょう.

その芸術性はシューベルトでもドビュッシーでもラベルでも,見事なまでの音の強弱による微妙なリズム感,楽章間の対比,曲の構成,盛り上げ方によく現れていたと思います.それはフランスで長く暮らした彼女が自然と身につけた音楽性,芸術性だと思われます.

竹澤恭子,堀米ゆず子に続く逸材として今後を大いに期待したいと思います.いい忘れましたが,彼女は有名なロン・ティボー国際コンクールで2002年に史上最年少の優勝者となったということです.


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