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小林研一郎と竹沢恭子&N響 [音楽時評]

N響に関して,昨年の第9で中堅日本人指揮者をないがしろにした演奏以来すっかり嫌いになってしまって,このBlogでも 2~3度そのことに触れました.特にN響団員が練習当日からBlogで指揮者について個人的な批評がましいことを書いているのを見るのはまことに不愉快です.あんたからそんなこと聞かされたくないという思いからです.自分が批評を受ける立場のはずが,N響集団のなかに埋没した形で「よくいうよ」という気持を禁じ得ないのです.
私が最初にN響定期会員になったのは上野文化会館時代からで,忘れがたい思い出に年末定期の小澤征爾の第9を,会員に電報1本でキャンセルしたN響の独善体質があります.

それでも,サントリーホールが改修中のB定期に代わる演奏会が上野文化会館であるというので,3ヶ月間上野で音を聴いてみたくて3回券を買った最初の公演が小林研一郎の指揮,竹沢恭子のバイオリンで行われ,バルトークのバイオリン協奏曲と小林さんお得意のベルリオーズの幻想交響曲を聴くことが出来ました.
小林さんは温厚過ぎて,日本のオケの音楽監督には不向きではないかとかねがね思っていたのですが,それでも今夜のN響への客演ではまことに見事な指揮振りを聴くことが出来ました.さすがに昨年末とは違って,日本や主として東欧で国際的にも活躍する日本人指揮者を迎えて,堀正文さんがコンマスとして昨年末の第9の時のコンマスより強い統率力を発揮されたようで,2曲ともまことに名演だったと思います.
第1曲はあげて竹沢恭子さんのずば抜けた力量がバルトークで活き活きと発揮されたというべきでしょう.

幻想交響曲では,標題音楽を拡充した大規模は楽器編成のこの曲で,小林研一郎さんの微に入り細をうがった丹念な指揮が光りました.オーボエの主席を1階中段の左側に配して,掛け合いをやらせたのはたいへん興味深かったですし,第4,5楽章のいささか奇っ怪で大げさなストーリーの部分では,各パートを存分に鳴らしてこの曲の奥行きを十二分に示してくれたと思います.

それにしても,客の入りが5割前後ではなかったのでしょうか?あれだけ十分な広告媒体を持ったNHK交響楽団としてはいったいどうしたことでしょう.N響のB定期はNHKホールの入りが悪くて収容定員の違うサントリーホールに移ったのでしたが,この調子なら文京シビックホールや目黒パーシモン,杉並公会堂などのいずれかに移って,もっと緊密な演奏を聴かせてみるのも良いのではないでしょうか?

幻想交響曲は今年の松本サイトウキネンコンサートのオーケストラB公演で小澤征爾が取り上げることになっていますが,小澤が若くして早くから取り上げ録音もしたこの曲を熟年に達したこの夏どのようにオケを響かせるのか聴き比べてみたいものです.もっともチケットが取れないと始まりませんが...


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