王子ホール:東京クァルテット演奏会 [音楽時評]
2月18日,王子ホールに東京クァルテットの演奏会を聴きに行ってきました.何よりも4人ともたいへんお元気そうでした. メンバーは,Violin: マーティン・ビーヴァー,池田菊衛, Viola:磯村和美, Cello:クライブ・グリーンスミス でこのところ固定しています.
プログラムは,
ハイドン: 弦楽四重奏曲 第82番 ヘ長調 Hob.Ⅲ/82. Op.77-2
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130 「大フーガ付き」
でした.
ハイドンの4楽章は,とにかくアンサンブルが綺麗でした.各楽器(いずれもストラディヴァリ)の音が美しくって,4つの楽章をひきたていました.
なかでもチェロの澄んだ音がたいへん目立ちました.他の日本のクァルテットではロータス,アルティ,それにアルモニコ位しかこのレベルには近づけないと思います.
べートーヴェンの第13番は,最初この大フーガ付きで作曲されましたが,あまりに長大になるというので,別の楽章を書いていますが,今夜は元の大フーガ付きの演奏でした.
第1楽章の序奏の導入がちょっと温和しすぎましたが,直ぐに調子を戻して,ソナタ形式の楽章を通して何度か反復されました.第2楽章はPresto でたいへん切迫感のある楽章です.
第3楽章はAndante con moto, ma non troppo. Poco scherzoso とあって,ややくだけた感じのメロディが表現されていました.第4楽章も比較的短いブリッジ風の楽章でした.
第5楽章は,Cavatina. Adagio molto espressivo でバートーヴェンの弦楽四重奏曲全体を通しても,最も叙情味に溢れ,やや哀愁に満ちた美しく忘れがたい楽章です.
大フーガは,3つのフーガからなる難解な曲で,ベートーヴェンと神との対話とも呼ばれるモノですが,4人の名手によってかなり掘り下げた演奏を聴かせてくれました.
たいへんな名演で鳴り止まぬ拍手に答えて,シューベルトの弦楽四重奏曲「断章」のフィナーレが丁寧に演奏されました.
たいへん充実した滅多に聴けないような演奏会でした.なお,アンコール曲の紹介に先立って,今年の夏に,ベルリン・フィルの首席ビオラ奏者清水直子さんを加えた弦楽五重奏の演奏会の紹介がありましたので,付言しておきます.
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