クァルテット・アルモニコ;サロン・コンサート [音楽時評]
7月4日,日曜日の夕方近く,護国寺近くの教会へ,クァルテット・アルモニコ;サロン・コンサートを聴きに行ってきました.
こぢんまりした教会ですが,適度な天井の高さがあり,ステージは3段の石畳という形で,結構音の響き,残響は,理想的とはいいませんがまあまあ良かったと思います.
クァルテット・アルモニコは,私が,東京クァルテットを別にして,ロータス・クァルテットと共に日本人クワルテットのなかで最も期待を寄せている弦楽四重奏団ですが,今日はたいへんな好演を聴かせてくれました.
メンバーは,菅谷早葉 1st.vn, 生田絵美 2nd.vn, 阪本奈津子 vl, 富田牧子 vc です.正式には1995年東京芸大在学中に結成され,チェロだけが2006年から3人目ですが,あとは不変です. 第4回シューベルト国際コンクール優勝,第8回ロンドン国際弦楽四重奏コンクール第2位,第2回ハイドン国際室内楽コンクール最高位などの入賞歴があります.また,エクサンプロヴァンス音楽祭などに出演歴があります.
プログラムは, モーツアルト: 弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156 ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第1番 ヘ長調 作品18-1
※※※※※※※※ ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品95 「セリオーソ」 でした.
モーツアルトは急-緩-急の3楽章構成ですが,16歳で作曲したとは信じがたいほど敬虔な美しさを持った第2楽章が心に染みました.
ベートーヴェンの最初の弦楽四重奏曲作品18-1は,ハイドン,モーツアルトを超えたモノを書きたいという気持からか,28歳過ぎに推敲を重ねて6曲を作曲したなかの実は2番目が1番となったといわれています.急-緩-急-急の4楽章構成で,特に第2楽章では,作曲者ベートーヴェン自身が、ロメオとジュリエットの中の墓場の場面を思い描いて作曲したという話が伝わっており,この時期のベートーヴェンにしては珍しく深刻さをもった楽章となっていますが,あとは全体に明るい基調で一貫しています.4つの楽器のバランスが適切にとられた見事なアンサンブルが展開されました.
このアルモニコを聴くのに,ダブったりしてちょっと年月の間隔が空いてしまったのですが,前に見られたようにチェロが時々不必要に強い音を鳴らすことがなくなり,良く調整された四重奏でした.
後半の「セリオーソ」では,冒頭荒々しいユニゾンの主題が提起され,それが激しく展開されるところに「セリオーソ」の由縁があるといわれます.部分的に熱情ソナタを連想させる所がありますが,楽章は静かに閉じられます. 第2楽章とアタッカで繋がる第3楽章と2つの楽章では,チェロが活躍しますが,先ほども書いたように,よく抑制されたチェロは,なかなかバランスの良い好演でした. 第4楽章は変化に富んでいて,短い緩やかな序奏に始まり,主部はロンド形式で情熱的な主題が歌われ、高揚します.しかし、突如コーダに移ってAllegro ヘ長調に転じ、今までの真剣さを諧謔するように明るく軽快に閉じられます.
たいへん緻密なアンサンブルを展開してたいへん好演でした. 今年12月4日にアルモニコ定期の第4回がトッパンホールで予定されていますが,それがいっそう楽しみになりました.
初めまして!
昨夜、名古屋・宗次ホールでクァルテット・アルモニコの演奏会を聴いてきました。
彼らの演奏を聴くのは初めてだったのですが、
アンサンブルの質の高さに唖然とさせられました。
今後、楽しみなカルテットのひとつとなりました。
by ひろ (2010-08-01 18:54)