JTアートホール:クヴェレ・クァルテットの初々しい好演 [音楽時評]
4月14日,JTアートホールに,クヴェレ・クァルテットを聴きに行ってきました.
メンバーは, ヴァイオリン:第1 長尾春花(高校生で日本音楽コンクール1位,ロン・ティボー国際コンクール第5位)
第2 伊東真奈(いくつかの入賞歴)
ヴィオラ: 中村翔太郎
チェロ: 山本直輝 でした.
プログラムは,
ハイドン: 弦楽四重奏曲 変ロ長調 「狩」 Op.1-1 Hob.III-1
メンデルスゾーン: 弦楽四重奏曲 第3番 イ短調 Op.13
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グラズーノフ: 弦楽五重奏曲 イ長調 Op.39 山崎伸子が第1チェロ参加
でした.
ハイドンはまことに端正に,非常に良い楽器間のアンサンブルを維持して好演してくれました.若いのにヴィオラもチェロも良く鳴っていました.
メンデルスゾーンでもよいバランスでしたが,特に第2楽章,緩徐楽章の甘美な美しいメロディの歌わせ方は見事でした.
グラズーノフは,山崎伸子さんが加わって,低音の支えがどっしりとしたお蔭もありますが,なかなか見事な五重奏を聴かせてくれました.
ひるがえって,内外の音楽コンクール・ヴァイオリン部門入賞者が中心となったクァルテットを思いつくままに上げますと,
第1に,瀬崎明日香さんのモノを聴いたことがありますが,なかなか期待させるモノがありながら,2~3度の消息の後,クァルテット活動はほぼ中断されてしまったようです.
第2には,崎谷直人という少し自己中心的なヴァイオリニストが,ヴァイオリン・コンクール入賞歴の後,クァルテットを組んで,ミュンヘン国際音楽コンクール3位に入るという僥倖に恵まれながら,間もなくそれがウソだったように2人が抜け,崎谷直人中心に再結成されたクァルテットが,スイスに居を移して弦楽四重奏に専念したいという話を聞いていますが,今年各地でやっている演奏会は1時間単位のモノ中心ですから,個人的に将来性を見据える機会には恵まれていません.
日本のクァルテットで,歴史の長いモノから上げると,海外組では,東京クァルテットがオリジナル・メンバー2人で頑張っており,ロータス・クァルテットがヨーロッパで確固とした地位を確立しています.
国内で私が注目しているのは,アルティ弦楽四重奏団,クァルテット・アルモニコなどで,それらを追う新進気鋭のクァルテットを大いに待望してきたのですが,もし今夜のこのクヴェレ・クァルテットが,個人的な仕事は別にして,この弦楽四重奏を着実に継続して貰えたら,大いに期待できると感じました.
まだ,大学2,3年生達ですが,できれば早い機会からヨーロッパで研鑽を積んで,毎年,帰国演奏会を開くような形が取れれば,大いに成長を期待できそうです.
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