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トッパン:ウィスペルウェイ無伴奏チェロ・リサイタル [音楽時評]

10月23日,トッパンホールにオランダ出身のピーター・ウィスペルウェイの無伴奏チェロ・リサイタルを聴きに行ってきました.                                                   おそらく現代最高のチェリストといえるほど,素晴しい超絶技巧を持ち,しかも1760年製のグァダニーニを駆使して幅広い音量と多彩な音色を自在に駆使する素晴しいチェリストでした.        このウィスペルウェイがカルテットに加わったら,どんなにカルテットのレベルが高まるだろうと妄想したほどでした.

プログラムは,                                                      ヒンデミット: 無伴奏チェロ・ソナタ Op.25-3                                                          ブスール:  《あなたのフアウスト》のエコー第1                                         リゲティ:   無伴奏チェロ・ソナタ                                                   クラム:    無伴奏チェロ・ソナタ                                                       ※※※※※※※※                                                                               コダーイ:   無伴奏チェロ・ソナタ Op.8                                           と20世紀中心でした.

ヒンデミットは5楽章構成で,前奏曲風の第1楽章から闊達な第2楽章,3部形式の静かな第3楽章,短いピアニッシモの第4楽章,終楽章が4分音符中心で力強い表現ですが,ピチカートで曲を締めくくります.この第1曲から本当に驚くばかりの達者なテクニックを駆使して,曲をくっきり浮かび上がらせてくれました.

ブスールは,今年の3月に80歳で亡くなられたそうで,特に加えられた曲でした.チェロ曲ではブスールを代表する曲だそうで,単一楽章ですが,技巧的で多彩な,内容豊かな曲でした.

リゲティは聴いたことがあったと思いますが,恋人と想い人の2人のチェリストに捧げられた曲で,第1部,第2部の2部構成で,1部が民謡素材による曲,2部は超絶技巧の曲で,2部に1部の旋律が回想されて曲のまとまりが構成されていました.

クラムは,習作の予定で書かれ,後年出版されたモノで,第1楽章ではピチカートが多様,多彩に用いられ,2楽章ではロマンティックなメロディが3つの変奏とコーダで展開され,第3楽章では巧みな音色のコントラストが曲を盛り上げ,第1楽章のテーマが再現されて曲が纏められています.第2楽章がたいへん優美でした.

コダーイは,今夜の中ではもっとも超絶技巧を要求した曲で,C弦とG弦を半音下げて,開放弦を多用し,それに音を重ねて重音,三重音が多用され,第1楽章はダイナミックなソナタ楽章,第2楽章アダージオは,高音域を極限まで駆使した叙情的楽章,ロンド・ソナタ形式の第3楽章では重音と持続音を多用してスケールの大きな音楽が構成されます.                                      この曲で特に超絶技巧が軽々と展開されて,ウィスペルウェイの優れたチェリストぶりがいっそう顕在化されていました.

余人では及ばないレベルの人で,また是非聴きたいチェリストです.

 


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