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武蔵野文化小ホール:ラドゥロヴィッチ・ヴァイオリン・リサイタル [音楽時評]

12月8日,武蔵野文化小ホールへ,1985年旧ユーゴスラヴィア生まれのラドゥロヴィッチ・ヴァイオリン・リサイタルを聴きに行ってきました.伴奏は,2年前に武蔵野文化小ホールでリサイタルをやったことのあるファヴル=カーンでした.

プログラムは,
シューベルト:  ヴァイオリン・ソナチネ 第1番 ニ長調 D.384
ブラームス:   ヴァイオリン・ソナタ 第3番 二短調 op.108
        ※※※※※※※※
ドヴォルザーク: ヴァイオリン・ソナチネ ト長調 op.100
グリーグ:     ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ短調 op.45
でした.

ラドゥロヴィッチの使用楽器は,1843年J.B. ヴィヨーム製作の名器だそうです.
彼は,たいへんなテクニシャンで,非常に正確な音を,名器を使って音量豊かに,それぞれの曲を好演してくれました.

シューベルトは比較的短い小品ですが,シューベルトらしい歌心のにじんだフレーズを巧みな伴奏に乗せて,豊かに表現してくれました.

ちょっと表現が行き過ぎではないかと感じたのはブラームスでした.
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番は,ネット上のGood Familyを借用していうと,「暗い情熱が特に印象深く、精緻な構成と高い緊張感が持続する第1楽章、ロマン的な抒情性にあふれた穏やかな第2楽章、スケルツォに相当し、憂鬱で悩ましげな暗い情感が全体に流れている第3楽章、抑圧された情熱が火のように燃え上がったような様相を呈し、そのデモーニッシュで激烈な表現は、ブラームスのすべての作品の中でも、特に凄みを感じさせる第4楽章からなっています.」
ラドゥロヴィッチは,第3楽章からもう第4楽章を意識して,激しい表現に入っていましたし,どこか東欧の舞踏のリズムを感じさせるほどの激烈な表現でした.
個人的には,ブラームスはもっと端正さを保って弾いて欲しかったと思います.

ドヴォルザークのソナチネは,ラドゥロヴィッチが備えたリズム感に近かったようで,なかなか聴き応えのある好演でした.

グリーグの第3番は,たいへん甘美なメロディをふんだんに散りばめた親しみのある名曲ですが,ここでも終楽章に向けてかなり激しく演奏していました.
若さに任せてというニュアンスを感じてしまいました.

たいへんなテクニシャンですが,それをひけらかすように弾きまくるのではなく,もっと自分の内面からの情感を込めた表現力を培って欲しいというのが私の感想です.
数年後を期待したいものです.

伴奏したファヴル=カーンは,ほんとに良くラドゥロヴィッチを支えていて,今夜の功労者として賞賛したいと思います.また,ソリストとしての演奏を聴きたいと思いました.


追記: たった1日で ラドゥロヴィッチ・ヴァイオリン・リサイタル へのアクセスが,私のブログで,ラトル,ベルリンフィルのブログ以降の個々のブログへのアクセスを上回ってしまい,ラドゥロヴィッチの人気の高さに驚かされました.
私はやや辛口のコメントを書いていますが,彼はまだまだ滞日して,年末第9の前座の四季や川崎でのジルベスター・コンサートにまで出演が予定されていますから,どうぞご自分で確かめる機会をお持ち下さい.



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