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紀尾井ホール:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の忘れ難いアンサンブル [音楽時評]

12月3日,紀尾井ホールに,創立200周年というゲヴァントハウス弦楽四重奏団を聴きに行ってきました.
先週のベルリン弦楽四重奏団(たいへんな名演だったそうですが)を同窓会で棒に振ったので,すごく楽しみにしていました.

プログラムはオール・ベートーヴェンで,
ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲第2番 ト長調 Op.18-2
    〃     弦楽四重奏曲第16番 へ長調 Op.135
          ※※※※※※※※
    〃     弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1 「ラズモフスキー第1番」
でした.

ベートーヴェンは最初にロブコヴィッツ侯爵に献呈された作品18の1から6まで6曲の弦楽四重奏曲を作曲し,間をおいて,作品59の1から3まで,いわゆるラズモフスキー侯爵に献呈されたラズモフスキー第1から第3番の3曲の弦楽四重奏曲をまとめて作っていますが,さらに晩年に,いわゆる後期弦楽四重奏曲群がややばらばらに作曲されています.

第10番 変ホ長調(ハープ) Op.74  
第11番 ヘ短調『セリオーソ』 Op.95
第12番 変ホ長調Op.127
第13番 変ロ長調Op.130
第14番 嬰ハ短調Op.131
第15番 イ短調 Op.132
大フーガ 変ロ長調 Op.133 (元々は第13番の終楽章であったが,別の終楽章を作り,これを独立させた)
第16番 ヘ長調 Op.135

意見が一致しているわけではありませんが,これらのなかで作品132がベートーヴェンの弦楽四重奏曲の白眉といわれています.なお,ご参考までにOp.134 は,大フーガOp.133 を四手のピアノ連弾用に編曲(改作)されたピアノ曲です.

ゲバントハウスは紀尾井ホールで2夜の演奏会をやっていて,今夜は第2夜だったのですが,初日には,弦楽四重奏曲第3番,第9番,第15番を演奏したそうです.

この楽団の素晴らしい特徴は,決してよくあるように第1ヴァイオリンが他を従えるのではなく,4つの楽器が揃って演奏する時には,たいへん美しいアンサンブルとなって弦楽四重奏がひとつの和音として響くとこです.
また音を張り上げるわけではないのに,見事なまでの陰翳を繰り広げて音楽の深みを聴かせて呉れるのです.

第2番では,まだまだハイドンの影響が強く出ていましたが,第3楽章にはスケルツオが置かれ,新しさを打ち出しています.ゲヴァントハウスはたいへん美しいアンサンブルを聴かせてくれました.

ちょっと他と異なって,ベートーヴェン最後の作曲作品135の第16番は,まだ解明されていない部分のある曲ですが,ゲヴァントハウスは淡々と美しいアンサンブルを展開してくれました.

作品135ではなく,第7番をこの夜の最後に置いて,たいへん見事にまとまった鮮明な演奏を聴かせてくれました.
11月28日に始まって秋田,大阪,逗子,そして東京の朝日ホール,紀尾井ホールで2夜と移動しながら8晩連続して演奏してきて疲れていたと思いますが,それをほとんど感じさせない綺麗なアンサンブルを楽しみました.

今年も弦楽四重奏曲をたくさん聴いてきましたが,解散公演のアルバンベルクを別にして,日本勢のロータス・クァルテットと今夜のゲヴァントハウス弦楽四重奏団が出色の出来だったと思います.
それにしても,昨夜のロンドン響同様に,7割くらいの入りだったのが残念でした.休憩後の民族大移動は決して見たくないもののひとつです.

やはりクァルテットは作曲者を生んだヨーロッパの空気,雰囲気,伝統のなかで成長するのが,一番望ましいのではないでしょうか.
年内にはヨーロッパで研鑽を積んだアルモニコが,トッパンホールで第2回定期演奏会をやるのを楽しみにしています.
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