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シャネル・ピグマリオン・コンサート:新居由佳梨(pf)&末延麻裕子(vn) [音楽時評]

9月14日午後,マチネーで新居由佳梨(pf),歩行者天国の銀ブラを挟んで,ソワレの末延麻裕子(vn)を聴いてきました.

新居由佳梨さんのプログラムは
バルトーク: ルーマニア民族舞曲
  同:    チーク地方の3つの民謡
グリーグ:  叙情小品集より「蝶々」「小人の行進曲」「ワルツ」「故郷にて」「トロルハウゲンの婚礼の日」
        ※※※※※※※※
リスト:    巡礼の年 第2年 イタリア 第7番 ダンテを読んで: ソナタ風幻想曲

新居さんは確実なテクニック,洗練されたタッチとリズム感で,前半,ハンガリー,ルーマニア民謡を踏まえたバルトークとノルウエー民謡のグリーグを鮮やかに引き分けてくれました.まことに見事でした.
後半のリストは,新居さんの解説によれば,ダンテの神曲の「地獄篇」を扱った曲で,たいへんな難曲かつ大曲ですが,新居さんは全体の構成を踏まえて,確実なピアノタッチでたいへん内容の濃い演奏を聴かせてくれました.
なお,アンコールにリストの「愛の夢」3番を美しく弾いてくれました.

新居由佳梨さんは,ソロ活動(今回がほぼ1年ぶりとの事でしたが)の外,ヴァイオリニストとの協演でも既に活躍しておられるようですから,今後ますますの発展とご活躍を祈りたいと思います.


ソワレの末延さんのプログラムは総べて無伴奏の曲で
ヴィニアフスキー: エコール・モデルン(新しい手法) 作品10のエチュードカプリスから 第7番 「カデンツァ」
クライスラー:   レチタティーボとスケルツオ・カプリース 作品6
イザイ:      ヴァイオリン・ソナタ第4番 ホ短調 作品27-4より アルマンドとファイナル
        ※※※※※※※※
バッハ:      無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BMW 1001
イザイ:      ヴァイオリン・ソナタ第3番 二短調 「バラード」 作品27-3
でした.        

末延麻裕子さんは,1987年生まれの若さで,私が今春シャネル・ピグマリオン・コンサートで聴いて時には,技術的成熟度の面で,紙一重,今年の同じピグマリオン出演者矢野玲子さんに遅れていると書いた記憶がありますが,今回は,まだ差があるにしても,ぐんと成長して出演しておられたように思います.

無伴奏曲は,もろにヴァイオリンのテクニックが前面にでる訳ですが,今回は何度か重音の部分で音が濁ったりしたところがあったほかは,本当によくさらってこられたという印象を持ちました.
いくつか比較的短い曲を弾かれたので,いちいち書きませんが,2回弾かれたイザイで,そうした印象を強く受けました.

昨年の日本音楽コンクールのファイナリストは高校生が主流で,高校3年生が1位,あとは2位なしの3位と入選という差が付いていましたし,また,チャイコフスキー国際コンクールでは,末延さんより1歳上の神尾真由子が優勝を飾っています.
しかし,ヴァイオリニストのテクニックの進歩は,人によって年代の差違があると思いますから,末延さんも,ご自分のペースで着々と上達を図られるよう期待したいと思います.



   
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