SSブログ

日経ホール:マリナ・シシュ(vl) [音楽時評]

10数年ぶりに日経ホールにフランスの若手,マリナ・シシュを聴きに行ってきました.

ヴァイオリン:マリア・シシュ
ピアノ:中島由紀
でしたが,中島由紀さんが一歩リードしてよく支えていました.

プログラムは,
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 作品24「春」
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品100
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
       ※※※※※※※※
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
でした.

シシュはちょっと変わり種です.
コンクール入賞歴は書かれていません.オイストラフ直系の弟子,テルメギアンの指導を受け,その後ピエール=ロラン・エマール等に指導を受けたとあります.
彼女が世に出たのは,意外なことに2003年にADAMI新人賞を受けたこと,CDがシャルル・クロス賞とレペトワール特賞を受けたことからだそうです.
いくつかのフランスの中堅処のオーケストラや室内管と協演し,協奏曲歴はブラームス,チャイコフスキー,シベリュース,ショスタコーヴィッチ等に及んでいます.
また,オーギュスタン・デュメイ等と活発な室内楽活動もやっているそうです.

それにしても彼女は何故ベートーヴェン,ブラームスから始めたのでしょう.
ベートーヴェンの「春」もブラームスの第2番も,演奏が滑らかすぎてリズムをようやくピアノが刻んでいる形でした.
いずれも譜面台を置いて,その場その場の演奏に追われて,ベートーヴェンもブラームスもドイツ古典派,ロマン派らしい構成感や造形が浮かんでこなかったのです.

「春」の第1楽章の終わりに私の隣を含めて拍手を入れるほどの聴衆でしたが,それにしてもベートーヴェンもブラームスもカーテン・コールはありませんでした.

カーテン・コールが入ったのは,ようやくサラサーテのツィゴイネルワイゼンの後でした.

休憩後のフランクは,フランスのヴァイオリニストならお得意でしょうが,ここでも楽譜に依存して,この第1楽章の主題があとの楽章で繰り返される循環形式の曲を,かなりゆっくり目のテンポで弾いてくれました.
第2楽章で普通なら与えられる緊迫感はなく,先日の神尾真由子の素晴らしいテンポとはおよそ正反対に,ゆったりと弾いていました.
第3楽章から第4楽章にかけてようやく盛り上がりを作って終わりましたが,第2楽章はかなりもの足りませんでした.
これはヴァイオリンとピアノのためのソナタということもありますが,終止,中島由紀さんがリードして支えていました.

神尾真由子と比較しては申し訳ないのですが,幸い明日,川井郁子が,音楽を聴いてもリクライニングを倒して寝ていても良いという白寿ホールで,やはりフランクを弾いてくれますから,随分とマシなフランクが聴けるものと期待しています.

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。