SSブログ

白寿ホール:川久保賜紀ヴァイオリン・リサイタル [音楽時評]

7月19日,初めて白寿ホールに川久保賜紀のヴァイオリン・リサイタルを聴きに行ってきました.

川久保賜紀は2002年のチャイコフスキー・コンクールで1位なしの2位になっていますが,その前年にはサラサーテ国際ヴァイオリン・コンクールで優勝しています.当時は,アメリカの財団から貸与された1707年製のストラディヴァリ「カテドラル」を使っていたそうですが,1昨年それは返還し,現在の使用ヴァイオリンは,日本財団から貸与された1736年製のストラディヴァリ「ムンツ」と思いましたが,彼女のホームページでは大阪音楽大学所有の1715年製ストラディヴァリュースとあります.

プログラムは休憩なしの1時間で,
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
ガーシュイン(ハイフェッツ編):「ポーギーとベス」より
     サマータイム
     あの人は逝ってしまった
     ベスよ,お前はおれのもの
     そんなことはどうでもいいさ
ラベル:ツィガーヌ
でした.

楽器が優れていることがあるのかも知れませんが,彼女のフランクのソナタは,第1楽章は比較的ゆったり主題を歌い上げ,第2楽章のアレグロで,循環形式に乗せて,確実なテクニックで絢爛豪華にこの曲を展開してくれました.
第3,レシタチーヴォーファンタジアと第4楽章アレグレット・ポコ・モッソもよく楽器を鳴らしてたいへん表情豊かに弾いてくれました.
文句なく昨夜のシシュを上回る名演でした.

ガーシュインもたいへん豊かな音を響かせて,各曲を見事に表情豊かに好演してくれましたし,ラベルのツィガーヌもたいへん豊かな表現力を誇示して名演してくれました.

彼女は,ヴァイオリン製作の聖地クレモナを訪ねる番組の旅人になるなど,知性的タレントとしても活躍しており,他種音楽とのクロス・オーバーや作曲など,今後の多面的な活躍を大いに期待したいと思います.

神尾真由子は,どんな曲にも高いレベルで自分の個性を発揮しないともの足りないようですが,川久保賜紀のフランクは,私が持っている五島みどりのゆったりとした演奏に近い,スケールの大きな演奏でした.


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。