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2月4週目:オラモ&フィンランド放送響,N響,ツエトマイヤー・クァルテット他 [音楽時評]

少し間が空いてしまいました.2つのコンサートに行き損なったからです.その1つ,サカリ・オラモ指揮,フィンランド放送交響楽団は風邪をひいていて,2日後にどうしても外せない会合があって,残念ながら見送りました.会場が慣れないミューザ川崎だったこともあります.
2つ目は,もし時間を正しく認識していれば,その重要な会合から後半には回れたはずのものでしたが,如何せん,開演時間を19時と思い込んでいたのが14時開演で,会場に行った時には,紀尾井ホール本体の照明は消えていて,小ホールだけが開場された状態でした.東京クァルテットを聴くはずだったのです.
それでこの間に行ったのは,いずれも今週に行った新日本フィルの室内楽シリーズ,第一生命ホールの水曜日のクァルテット,NHK交響楽団のB定期,そして武蔵野文化小ホールのツェートマイヤー・カルテットでした.

新日フィルの室内楽は,まあ同じ楽団員が臨時に組んでやる室内楽ですから,よく弾いているなとひたすら楽しむことを目標にしています.中から常設のカルテットが育ってもいいのにと思っていますが,なかなか巧くいかないようです.来シーズンも1日に1曲は弦楽四重奏をやるということですから,期待は捨てないで居ます.

第一生命ホールのパシフィカ・クァルテットはアメリカの常設で,リンカーン・センターとシカゴ及びイリノイ大学のレジデント・クァルテットだそうですが,一級の名演を聴かせてくれました.メンデルスゾーンの第1番,ヤナーチェクの「ないしょの手紙」,そしてベートーヴェンの130番に133番の大フーガを付けた大曲を加えた楽しい演奏会でした. かつてコンクールでクス・クァルテットに1位の座を譲ったとありますが,今では一流のクァルテットに成長したといえましょう.日本人並みに小柄な女性シミンが第1バイオリンを弾いてリードしているのがたいへん心地よく響いていました.メンデルスゾーンでは第2楽章で「あっこの曲」と思い出させる親しみ深い曲が出てきます.ヤナーチェクは晩年の人妻への強い恋愛感情につつまれた起伏に富んだ名曲,ベートーヴェンの130番は恐らく彼晩年の最高の弦楽四重奏曲と思われる名曲です.

N響のB定期は,アシュケナージの指揮で,珍しいシグルビェルンソンのスマルトーナル,エルガーの「なぞ」,そしてR.シュトラウスの「英雄の生涯」でした.「英雄の生涯」でのソロコンマスの美しいソロパートが長く続くのが綺麗だったことを別にすれば,近頃のN響は定期を弾き流してこなしているという感じがしてあまり楽しめません.
東京のオケで一番高額なこと,役にも立たない「フィルハーモニー」を抱き合わせで買わされていることなども不愉快で,その不快感が昨年末の第9の演奏会で上岡さんの指揮に妥協を求めて「普通の」演奏にしてしまったこと(第2バイオリンのホームページ「アンサンブルクラルテ」にとくとくと書いてありますから是非参照下さい)から一挙に高まってしまったようで,合計6年余の海外生活期間を除いて半世紀も続けてきたN響定期会員をもうやめにしたいと考えています.

それから昨日武蔵野文化小ホールで聴いたツエトマイヤー・カルテットは,今年いちばんの聴きモノでした.最初に驚いたのは,カルテットが譜面台を排して全曲暗譜で演奏したことです.ブルックナー,ヒンデミット第4番,そしてベートーヴェン最期の作品135番という意欲的な構成でクァルテットを楽しませてくれました.
譜面台を排したほかに,第1バイオリンの隣にビオラ,第1バイオリンの向かいに第2バイオリン,その奥にチェロという珍しい配置でした.ベートーヴェンは2日前に聴いた130+133と続けて135を聴けたことはたいへん幸せなことだったと思います.この遺作のなかで唯一重厚な第3楽章の名演はしばらく忘れがたいモノです.


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