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サントリーホール:ヘンシェルQのベートーヴェン連続演奏会2日目 [音楽時評]

6月9日,サントリーホール・ブルーローズ(小ホール)に,ヘンシェル・クァルテットのベートーヴェン弦楽四重奏曲連続演奏会の2日目を聴きに行って来ました.
昨日はクラリネット+アルモニコに回って,ヘンシェルは今日と明日,そして来週の金曜日に行く予定です.

1988年に結成されたヘンシェル・クァルテットは,近年トリトンに来演した当時までは,

第1ヴァイオリン/クリストフ・ヘンシェル
第2ヴァイオリン/マルクス・ヘンシェル
ヴィオラ/モニカ・ヘンシェル=シュヴィント
チェロ/マティアス・D・バイヤー=カルツホイ

とチェロ以外の3人がドイツのヘンシェル家の兄弟姉妹だったのですが,今夜は,第2ヴァイオリンが,イギリス人のダニエル・ベル(ソリスト,四重奏団メンバー,ベルリン・フィル団員等を歴・兼任)に変わっていました.何故か交替の理由は明らかではありません.もっとも,ヘンシェル兄弟姉妹は共に,ドイツとイギリスで教育を受けていますから.いくつか接点はあったのでしょう.
なお,1996年の大阪国際室内楽コンクールで元のメンバーで優勝しています.

今夜のプログラムは,オール・ベートーヴェンで,前期,中期,最後期から,
弦楽四重奏曲 第2番 ト長調 op.18-2
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 op.135 (ベートーヴェン最後の作品)
      ※※※※※※※※
弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 op.18-4
弦楽四重奏曲  第9番 ハ長調 op.59-3
でした.

これはちょっと演奏者にも聴衆にもハードだったのではないでしょうか.

昨夜もヘンシェルは,op.18-1; op.95「セリオーソ」; op.133「大フーガ」;op.130 を弾いたのですが,op.133は,元来op.130の第6楽章だったのですから,まあ3曲半といえなくもないのです.そして明日は,マチネーということもあって,op.18-5;op.59-2;op.127 の3曲です.

エマーソン弦楽四重奏団とか東京クヮルテットの演奏だったら,上記の4曲を十分楽しみ堪能したと思いますが,ヘンシェルは到底そのレベルではありませんでした.

演奏は,ベートーヴェンのオリジナルな指定に幾分近づいて,早めのテンポで押し通していたのはよかったのですが,私がいつも気にするチェロの音質が綺麗ではありませんでしたし,音を外す例が何度もあり,必要以上の強音をたびたび聞かせました.
また,第1ヴァイオリンの音質も決して優美でも綺麗でもなかったのです.第2ヴァイオリンはあまり目立ちませんでしたが,音はヴィオラと並んで良かったと思います.

私見で相対的に良かったのは,op.135の熱演でしたが,その逆はop.59-3「ラズモフスキー第3番」でした.

また,明日と来週の金曜日のヘンシェルについて書きますから,今夜はこの程度にします.

 


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津田ホール:亀井良信(cl)+Qアルモニコ演奏会 [音楽時評]

6月8日,津田ホールに,亀井良信+クァルテット・アルモニコ;クラリネット五重奏演奏会を聴きに行って来ました.

出演者は,
Clarinet: 亀井良信
Violin:    第1, 菅谷早葉,第2,生田絵美
Viola:      坂本奈津子
Cello:   北口大輔(日本センチュリー響首席の臨時出演)
でした.

プログラムは,
ウェーバー:   クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34,J.182
西村 朗:     クラリネット五重奏曲〈第一のバルド〉(東京初演)
        ※※※※※※※※
モーツァルト:  クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
でした.
西村さんの曲は,2010年8月14日に草津音楽祭でカール・ライスターとクァルテット・アルモニコによって初演された曲で,今回が東京初演ということだそうです.

ウェーバーの曲は,クラリネットの名手に会って1811年に着手しながら,完成は1815年と特に4楽章の完成に時間がかかったといいます.急ー緩ーメヌエットー急=ロンドの4楽章構成ですが,モーツァルトの作品がA菅対象なのに,ここでは半音高いBb菅が使われているそうですが,オペラ作曲家としての好みが現れていると思われます.第1楽章は劇場空間的性格を持っているといえますし,続く楽章でも名人芸的なパッセージが随所に現れ,何かクァルテット伴奏付クラリネット・ソロといってよい作品でした. 

西村さんの曲はA菅で書かれ,カール・ライスターに献呈されています.バルドはチベット仏教において死から再生までの死者の魂の体験する3つの期間をいいますが,ここでは肉体および人生の記憶と死者の魂の別離という代のバルドを扱っているので,それが副題になっています,
約20分の曲ですが,なかなか充実して変化に富んだ曲でした.
A菅がかなりはっきりとウェーバーの曲の独占的なクラリネットと違って,クァルテットとよく溶け合った演奏でした.臨時出演のチェロが結構活躍しますが,見事にクァルテットないし五重奏のアンサンブルに貢献していました.

モーツアルトの曲は,1789年に初演されたクラリネット五重奏の名曲ですが,急ー緩ーメヌエットー急の4楽章構成で,第1楽章の出だしがクァルテットから始まり,クラリネットがアルペジョ主体の動機で応えるという,クラリネット五重奏曲のお手本のような作品で,明暗の境を行き来する第2主題が,全曲の基調になっているといわれます.
この曲では随所でクァルテットが主導的に使われている点と,クラリネットがロー・レジスターの表現力に力点が置かれている点で,今夜のクラリネット五重奏曲を,クァルテット.アルモニコ好きで聴きに行った者には,たいへん楽しめる好演でした.

最初は少し気がかりだった臨時出演のチェロの北口大輔さんは,結構,室内楽の経験を積んでいるようで,そつなくこなしていて安心できました.

 


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