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日経ホール:プラジャーク・クヮルテットの好演 [音楽時評]

5月25日,日経ホールにチェコの弦楽四重奏団,プラジャーク・クヮルテットとピアノ五重奏に参加した三輪郁を聴きに行って来ました.

プラジャークのメンバーは,
パヴェル・ヒューラ(第1ヴァイオリン)
ヴラスティミル・ホレク(第2ヴァイオリン)
ヨセフ・クルソニュ(ヴィオラ)
ミハル・カニュカ(チェロ)
それに,ピアノに三輪郁でした.

プログラムは,これが日経ホール・コンサート第400回記念ということで,
スメタナ/弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調「わが生涯より」
ドヴォルザーク/弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96「アメリカ」
        ※※※※※※※※
ドヴォルザーク/ピアノ五重奏曲 イ長調 作品81(ピアノ=三輪郁)
という名曲揃いでした.

前から書いているように,このホールは残響が少ないのですが,今夜のプラジャーク・クヮルテットはチェコの作品,いわば十八番の作品揃いということもあって,見事なまでのアンサンブルで,それを感じさせませんでした.

スメタナの「わが生涯より」は,ホ短調の作品で,作曲者が聴覚を失った自分の生涯を綴った曲として知られています.
今夜のプログラムに,スメタナが全4楽章について記述した内容が紹介されていましたので,それを綴りますと.
第1楽章:「青年時代の芸術への愛,表現しがたいものへの憧れ,そしてやがて来る予兆を描いている」,
第2楽章:「青年時代の楽しい思い出であり.その頃の私は舞曲好きとして知られていた」
第3楽章:「私の最初の恋.後に私の妻になった1人の少女との初恋の喜び」
第4楽章:「民族的な音楽の特色を把握したこと,それを自作に取り入れる道を見出した喜び」→「耳鳴り」(第Violinいよる悲痛な叫び)→「難聴の始まり,悲しい将来への見通し,回復への秘かなな希望の光も消え,最後に残るのは,痛みと絶望の思い出だけ」
の急ー急ー緩ー急ですが,第1楽章の開始でヴィオラが高音域で主旋律を奏でることや、終楽章で第1ヴァイオリンがホ音の保続音(スメタナに聞こえていたという幻聴象徴)が奏でられるのが有名な部分で,第2楽章でのチェロの好演も併せて,忘れがたい印象的な好演でした.
なお,初演でヴィオラを弾いたのがドヴォルザークだったそうです.

ドヴォルザークの「アメリカ」は余りにも有名な曲ですから内容に立ち入りませんが,作曲者がアメリカでの夏休みをチェコ人が多く移民していたアイオワ州のスピルヴィルで過ごした間に作曲され,1894年にボストンで初演されています.ここでもプラジャークはたいへん伸びやかに好演してくれました.とりわけ,ヴィオラとチェロの豊かで美しい音が目立ちました.

最後のピアノ五重奏曲ですが,プラジャークが三輪郁と協演するのは初めてだといいますが,三輪郁はソリストとしてより,アンサンブル奏者として経歴を積んできた人のようで,たいへん見事なアンサンブルを聴かせてくれました.

全体として,プラジャーク・クヮルテットの充実したアンサンブルが強く印象に残りました.
なお,プラジャーク・クヮルテットは,今夜を皮切りに,全国縦断の形で6月7日までプログラムを変えて各地を演奏して回るようですから,ご関心の方は,地元のチケット販売をチェックされるようお薦めします.

 

 

 


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