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サントリーホール:都響B定期小泉和裕指揮ルケシーニ(pf) [音楽時評]

5月14日,サントリーホールに東京都交響楽団B定期演奏会を聴きに行って来ました.指揮は小泉和裕,ピアノにアンドレア・ルケシーニが加わっていました.
なお,コンマスは四方恭子でした.

プログラムは,
ブラームス:  ピアの協奏曲第1番 ニ短調 作品15
       ※※※※※※※※
ラヴェル:    「ダフニスとクロエ」 第1,第2組曲
でした.

ブラームスのピアノ協奏曲は,ブラームス最初の管弦楽曲といえますが,ピアノ・デュオ→交響曲→ピアノ協奏曲と変転の末完成した作品です.その経緯を辿る資料は消失しているようです.
恩師シューマンの自殺未遂,2年に渡る入院生活の後の死という背景,そして未亡人クララへの激しい思慕が重なり合った時期の作品で,懊悩と煩悶、激情といった、後年のブラームス作品には見られない表情が顕著に見られます.
この曲にはオーケストラとピアノを拮抗させようとした意図が見られますが,当初から「ピアノ助奏つきの交響曲」という指摘が多かったように、同時代,同ジャンルの曲に比べて内容が重く,ピアノが目立たないという異例さが目立ちます.また、成熟期の作品に比べ,管弦楽法が未熟で、とりわけ楽器間のバランスに問題があるなどの欠点を抱えた作品です.
しかし,現代では,ブラームスの初期を代表する傑作として評価されています.
第1楽章 Maestoso ニ短調  カデンツァなし,
第2楽章 Adagio ニ長調    終結部に短いカデンツア
第3楽章 Rondo: Allegro non troppo ニ短調   2つのカデンツァ
という構成ですが,長さは第1>第2>第3というちょっと変わった構成です,

今夜の演奏は,タダでさえ長い第1楽章 Maestoso を第2楽章Adagio と区別が付かないほどユックリ入ったことに問題があったと思います.そこではピアノがオーケストラの第1主題そして副主題を経てようやく登場するのですが,それまでのテンポが嫌でもピアノを引きずってしまった感じでした.
第2楽章では,シューマンを悼んだと思われるミサのベネディクトスの1節が楽譜に記されており,深い宗教的気分が支配する静謐な緩徐楽章なのですが,第1楽章との差が目立たないほどテンポが連続してしまっていました.

幸い,第3楽章は,ピヤノの先導で入りますが,ルケシーニが一挙にテンポを早めて入りましたから,2つのカデンツァも加えて,まことにピアノ協奏曲らしく見事に終わりました.
しかし,全曲の演奏時間55分はいかにも長過ぎました.

ルケシーニはアンコールに応えて,シューベルトの即興曲作品90-2をまことに鮮烈に好演してくれました.

後半の「ダフニスとクロエ」は,オーケストラから音を十二分に引き出した好演だったと思います.

前半と後半の書き方がアンバランスになってしまいましたが,悪しからずご了承下さい.

 


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