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2012都民芸術フェスティヴァル:NHK響公演 [音楽時評]

先日から批判している個人プレイの松本音楽祭より余程増しな芸術フェスティヴァルが東京で展開中ですが,在京8交響楽団の競演のなかで,今夜はNHK響を久しぶりに聴きに行って来ました.

NHK恒例の第9演奏会が,NHK響団員の小澤征爾ボイコットで中止する旨の電報を受け取った頃から50年位いNHK響会員でしたが,シルバー券を出すオケが出てきてそちらに移ったので,N響はNHK音楽祭で聴くくらいなのです.また,この芸術フェスティバルのNHK響のチケットは売れ行きが良すぎてなかなか取れなかったのです.

今夜は指揮が今ヨーロッパで活躍中のカール・ハインツ・シュテフェンス,ピアノ・ソロに韓国の若手,キム・ソヌクが出演していました.
シュテフェンスはベルリンフィルのクラリネット首席から指揮に転向した変わり種です.ベルリンフィルでは,ザビネ・マイヤー以来,クラリネット首席が落ち着かないですね.1961年生まれといいますから,丁度50歳というところでしょうか.2008年からハレ歌劇場の音楽監督として新たなスタートをきり,2009/2010年シーズンからはラインランド=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督にも就任した他,いくつもの主要オーケストラに客演を重ねているようです.
オーケストラ団員出身ということもあって,たいへん分かりやすい堅実な指揮をする人です.

キム・ソヌクは,2006年のリーズ国際ピアノ・コンクールで歴史上最年少で優勝した優れもので,現在,22歳だそうです.この人が又,素晴らしく着実な演奏をする人で,このところの年少天才的ピアニストの登場は立て続けで凄いですね.

プログラムは,
ウエーバー:  歌劇「魔弾の射手」 作品77〈序曲〉
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 作品37
             ※※※※※※※※
シューマン:   交響曲第4番 ニ短調 作品120
でした.

さすが,ドイツ系の指揮者らしく,「魔弾の射手」はスケール大きく好演してくれました.NHK響はコンマスは堀正文でしたが,他は首席が降り番が多かったように思われましたし,ホルンの首席がそもそも欠員で,首席代行の音が不安定だったのが気になりました.ホルンは森を象徴する重要な役割なのですが...

ベートーヴェンのピアの協奏曲第4番は,ソリスト,キム・ソヌクの本領発揮に尽きます.大変な才能に恵まれたピアニストだと思いました.音量も決してNHK響に負けていませんでした.
今後いっそうの大成を期待したいと思います.

シューマンの第4交響曲は,この指揮者のお得意らしく,たいへん好演してくれました.第1楽章の動機が2,3,4楽章でも有機的に使われて,曲の一体性を強めているのですが,シュテフェンスはそれを意図的に分かりやすい形で指揮してくれたのが印象に残りました.
今後の指揮者としてのさらなる成功を祈りたいと思います.

1点,余計なことが気になったのですが,第1バイオリンで堀さんの後ろに座っている男性が,他の奏者が身体を揺り動かして懸命に弾いている中で,タダ1人,ほとんど顔も身体も動かさないで弾いていたのがかなり異様に目立ちました.個人差があって仕方のないことかも知れませんが,せめて2列目に配置できなかったモノでしょうか.

 

 

 

 

 

 


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