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小澤征爾はスッパリ代役指揮者を探すべき [音楽時評]

小澤征爾は何故またまたエゴイズムの塊のような姿をさらすのでしょう?

1昨年は,サイトウキネンで,プログラム外の9分間のセレナード演奏でお茶を濁して,チケット代はそのまま...昨年は2回にわたって代役を立てながら,チケット代はそのまま...

今年の水戸室内楽団では,一部,振ったり振らなかったりで,吉田秀和さんの英断で,一律3000円の払い戻しをしたばかりです.

その小澤征爾が,今度は,既にチケットを販売していた小澤征爾音楽塾のオペラ「蝶々夫人」のオペラ公演を取りやめ,ステージ上演にして,52歳のフランス出身,New York でアソシェト指揮者のピエールヴァレーに第2幕第1場まで,小澤征爾が第2幕第2場の美味しい所だけを指揮するという,世界のオペラ界に前例のない無理押しのやりかたをするのは,ほとんど暴挙というべきではないでしょうか?

音楽監督の使命は,自分の出番を探すことではなく,せっかくのプロジェクト・スケジュールを代役を探してでも調正遵守することにあることを,全く忘却してしまったのでしょうか?
これでは,小澤征爾音楽塾は,公器であることを離れて,サイトウキネン同様,私物化されてしまったことになるのではありませんか?

一番素直な変更は,せっかくの浅利慶太の演出で,オペラ上演の指揮者に代役を立てることだったはずですが,いったいぜんたいそれは模索したのでしょうか?
それとも,小澤征爾音楽塾では代役捜しが難しいほど,オペラ音楽界での地位が低下してしまっているのですか?

ベストな選択は,今からでも遅くはないはずですから,オペラ上演で代役指揮者を探すべきですし,どうしてもそれが無理なら,ステージ上演でもスッパリ代役指揮者を探すべきではないでしょうか!!!

今回の変更では,主治医と相談の上ということですが,それでは初めからチケット代嵩上げと客寄せを狙った小澤征爾の出番探しが本題だったように聞こえて,どうしても,99%がた,小澤征爾や取り巻きのエゴイズムがまかり通ったと思われてならないのです.
もし既に変更が確定だとすると,もう15年も小澤に付き合わされて52歳にもなって未だにメト・オペラで下積みのピエールヴァレーがまったく可哀相ですし,重ねて何度も踊らされる聴衆も気の毒なことです!!!
教育プログラムだといいますが,小澤征爾の元から,これまで本当に育成されて跳躍して行った人はいったいぜんたい何人いたのでしょう!教育を本気でやるなら,成功例の南米のエル・システマ方式を見習ったらどうですか!昨年は,そこからサイトウキネン松本に指揮者を招いたではありませんか!

サイトウキネンは外国人に分かりにくいから名称を変更する,そして世界に進出すると大々的に打ち出したことが,もうすっかり尻すぼみで何の説明もないままですが,きちんと説明責任を果たさないと,いい加減,日本の小澤信仰も色あせるのではありませんか?

Tanglewood で小澤がそれまで無関心だった教育プログラムに突然関心を持って強引に干渉したこともひとつのきっかけとなって,Boston Symphony を追われるように去り,人脈でありついたウイーン国立歌劇場では,実質的な仕事はほとんどしなかった小澤征爾が,東京・春・音楽祭のオペラも失って,小澤征爾音楽塾とサイトウキネンにしがみつく気持ちは分からないでもありませんが,もっと若手を正面に立てる度量がない人に,音楽塾や松本の教育プログラムなどの若手育成プロジェクトは不似合い,不釣り合いもいいところではないでしょうか?

小澤征爾には,Metropolitan Opera のMusic Director, James Levine が,スタッフや聴衆に迷惑をかけたくないと,いさぎよく2013年まで休養を宣言した敬愛される指揮者の前例に習うことを,切に奨めたいと考えるモノです.


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US: Emerson String Quartet のCellist交替 [音楽時評]

久しくアメリカのString Quartet のTopを構成してきたEmerson Quartet のチェリストの交替が公表されています.

これまで34年間にわたって4人で演奏してきた内のチェリストが,60歳を期に,2012~13年シーズン末に交替し,別の活動に入るというのです,David Finckel, 60, is leaving, he announced in a statement, to pursue his own artistic endeavors at the end of the 2012-13 season.

He will be replaced by the Welsh cellist Paul Watkins, 42, a virtuosic player who is also expanding his career as a conductor, heading the English Chamber Orchestra and pursuing a range of guest-conducting gigs.  と交替するチェリストも,既に指揮者としてのキャリアも展開している才人だそうです.

実をいうと,David Finckelも多彩な活動を重ねてきた音楽家で,今頃担って今更という感じが拭えないとAnne Midgette は書いています.
Finckel has been multi-tasking so much for so long that it’s almost surprising that he wants a change at this late date.
Together with his wife, the pianist Wu Han, he founded and directs the festival Music@Menlo in California, and runs New York’s Chamber Music Society of Lincoln Center. They also have their own recording label, ArtistLed, and concertize independently. This year, Musical America named them, jointly, their Musicians of the Year.
と誠に多彩な活動を行い,社会的にも既にそれを評価されてきたというのです.

The Emerson Quartet is arguably the leading string quartet in America, with a host of honors (including nine Grammys), a reputation as exciting and trailblazing music makers, and a string of perpetually sold out concert appearances in Washington. If their star has dimmed in recent years as they settled down in the upper reaches of the performing pantheon, it certainly wasn’t because of Finckel, who has always seemed a revitalizing force in the group. Now that role will fall to Watkins, who will bring new blood and a slightly different accent to an eminently American group.

Anne Midgette は Emerson がnew blood や少し違ったアクセントを導入して,さらに発展していくことを期待しているようです.
私も,それを大いに期待したいと思います.

Posted at 11:01 AM ET, 02/14/2012

Emerson Quartet announces sea change

A fixture on the American classical music scene announced a major change this week: the Emerson Quartet, a group that’s played together for 34 years, is switching cellists. David Finckel, 60, is leaving, he announced in a statement, to pursue his own artistic endeavors at the end of the 2012-13 season.

He will be replaced by the Welsh cellist Paul Watkins, 42, a virtuosic player who is also expanding his career as a conductor, heading the English Chamber Orchestra and pursuing a range of guest-conducting gigs.

Finckel has been multi-tasking so much for so long that it’s almost surprising that he wants a change at this late date. Together with his wife, the pianist Wu Han, he founded and directs the festival Music@Menlo in California, and runs New York’s Chamber Music Society of Lincoln Center. They also have their own recording label, ArtistLed, and concertize independently. This year, Musical America named them, jointly, their Musicians of the Year.

The Emerson Quartet is arguably the leading string quartet in America, with a host of honors (including nine Grammys), a reputation as exciting and trailblazing music makers, and a string of perpetually sold out concert appearances in Washington. If their star has dimmed in recent years as they settled down in the upper reaches of the performing pantheon, it certainly wasn’t because of Finckel, who has always seemed a revitalizing force in the group. Now that role will fall to Watkins, who will bring new blood and a slightly different accent to an eminently American group.

The current configuration of the Emerson has one more season to go. The quartet’s next Washington performance — with Wu Han — is at Strathmore on Wednesday night.

By | 11:01 AM ET, 02/14/2012 |


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サントリー:南西ドイツ放送響,ロト指揮,神尾真由子 [音楽時評]

2月14日,サントリーホールに,フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮の南西ドイツ放送交響楽団,協演者ヴァイオリンの神尾真由子を聴きに行って来ました.

ロトは1971年生まれといいますから,40歳というところでしょう.2011年9月に,ようやく一級のオーケストラ,南西ドイツ放送交響楽団バーデンバーデン&フライブルクの首席指揮者に就任したのだそうです.
その指揮振りは,聴衆席から見ていて必ずしも風格のあるものではありませんでした.たびたび指揮台で飛び上がるのですが,節目節目でと納得させるモノではありませんでした.いささか上背が足りないので補っているのかも知れませんが,両腕を振り上げれば済むように思えてなりませんでした.

オーケストラは金管,木管楽器は一流でしたが,弦楽器群はそれほど豊麗ではありませんでしたし,打楽器は頷けないところがありました.それはベートーヴェンの「英雄」でチンパニーを終始座った姿勢で叩いていて物足りなかった点です.

神尾真由子については,今さら説明を要しないと思います

プログラムは,
ヴェーヴェルン:夏の風の中で 大オーケストラのための牧歌
シベリュース:  ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
        ※※※※※※※※ 
ベートーヴェン: 交響曲第3番 変ホ長調 Op.55 《英雄》  
でした. 

今夜一番大編成だったのは,ヴェーヴェルン:「夏の風の中で 大オーケストラのための牧歌」でした.いわば,この曲は,大編成のオーケストラを引き連れてきたために組み込まれたマーラー交響曲第5番に代わる作品という感じでした.
それでも,ピアニッシモから始まって,何度か盛り上がりを繰り返すそれなりに麗美な曲でした.

シベリュースに移って,神尾真由子は一段と表現力を増し,スケールが大きくなった感じを強く印象づけました. 
この曲は,創作の比較的初期.交響曲第2番第3番との間に作曲されており,ヴァイオリニストを志したシベリウスの作品らしく、難技巧が随所に取り入れられています.
1904年に初稿版で初演されましたが結果は芳しくなく,1905年にブラームスヴァイオリン協奏曲を初めて聴いたシベリウスは、自らの協奏曲よりもさらに徹底してシンフォニックなこの作品に衝撃を受け、本作を現在我々が耳にする形に改訂したといわれます.
第1楽章 Allegro moderato - Allegro molt - Moderato assai - Allegro moderato - Allegro molt vivace ニ短調は,拡大された自由なソナタ形式で,大きくは提示部(3つの主題)-展開部(カデンツァ)-やや変形された再現部とコーダ の形を取っています.
弱音器付きのヴァイオリンが小さく和声を刻む上を、独奏ヴァイオリンが第1主題(ニ短調)を提示して曲が始まる部分は,たいへん印象的です.
その後,第2,第3主題が加わった後の展開部がそっくりヴァイオリン独奏のカデンツアという特徴を持っており,このカデンツアの華麗さも強く印象に残ります.その後,3主題が変形されて現れる再現部が続きますが,交響曲を思わせる重厚な響き、緊密な構成など,シベリウスらしい独創性に富んだこの協奏曲の白眉をなす楽章といえます.
第2楽章  Adagio di molto 変ロ長調3部形式 は,ヴァイオリンがオーケストラと渡り合う感じの楽章です.
第3楽章 Allegro ma non troppo ニ長調,自由なロンド形式では,独奏楽器が技巧性を発揮する華やかな楽章で,コーダでオーケストラの演奏が短く続いた後,ヴァイオリンが終結音を奏でて終わるエンディングも印象的です.
全体を通して,神尾真由子は,スケール感豊かに,見事にオーケストラとの協奏を展開していました.今後,さらなる成塾を期待させる好演でした.
なお,アンコールに得意のパガニーニの24のカプリースより17番が華麗に演奏されました.

「英雄」は,比較的小編成で,かなり早めのテンポで演奏されましたが,中間楽章のホルンの好演が目立ちました.ただ,前に書いたように,チンパニーの響きが気になりましたし,ロトが何度も飛び上がるのに違和感がありました.
ロトは昨年の9月就任ですから,今後,いっそう良好な関係の構築が望まれます.

 


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