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武蔵野文化小ホール:ジョン・リル・ピアノリサイタル [音楽時評]

1月30日,武蔵野文化会館小ホールへ,ジョン・リルのベートーヴェンの最後期のピアノ・ソナタ;30,31,32番,op.109~111を聴きに行って来ました.シューベルトの最後のピアノ・ソナタ3曲も好きですが,ベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタ3曲も大好きだからです.

ジョン・リルは,1944年生まれですから67歳といったところでしょうか,2000年にロンドンの自宅で強盗に遭い両手を負傷して心配されたのですが,見事復活を遂げて,2004年に,ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集を出して,健在振りをアピールしたのですが,今回の来日はちょっとハード・スケジュールだったのではないでしょうか.

日本での演奏会は
1月28日,名古屋市宗次ホール,
29日新潟県魚沼市小出郷文化会館,
31日東京文化会館小ホールで
いずれもベートーヴェン3大ソナタ,
ソナタ第8番 ハ短調「悲愴」op.13
ソナタ第13番 変ホ長調「幻想曲風」op.27-1
ソナタ第14番 嬰ハ短調「月光」op.27-2
ソナタ第23番 ヘ短調「熱情」op.57

そして,間の30日に,武蔵野文化会館小ホールで,
ソナタ第30~32番,op.109~111
というスケジュールです.

チャイコフスキー国際コンクール第1位(1970年),イギリスが誇る大巨匠にして、ベートーヴェンの大御所、ジョン・リル.久々の来日で,ベートーヴェンを弾く.みずみずしく,洗練された豊かな感性がつむぎだす深い味わい.これこそ,大人の音楽.と宣伝されていました.

しかし,正統派といわれるベートーヴェン解釈はたしかに健在でしたが,2004年のレコーディングで聴かれた見事で繊細なピアノ・タッチが紡ぎ出す深い味わいには,少し外れた演奏に終始したと思われてなりません.
右手と左手のバランスが少し崩れがちでしたし,思わぬ所でフォルティッシモが聴かれました.

今夜,一番の聴きモノだったのは,休憩後に弾かれた,2楽章構成の第32番だったのではないでしょうか.この曲でようやく調子を取り戻されたようで,たいへん好演されたと思います.

どこがエージェントだったのか分かりませんが,もう少しご本人に配慮した日程を組んであげられなかったのだろうか,とたいへん残念に思われた一夜でした.
むしろ武蔵野も三大ピアノ・ソナタで通していた方が,ジョン・リルの現在の素顔を見られたかも知れないと思われました.

帰宅してから,ブログを書きかけて,思わず,ブレンデルによるこの3曲を聴いてから,このブログを書いたことを付言しておきます.

 

 

 


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