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武蔵野文化小ホール:P.v.ダイク,オルガン・リサイタル [音楽時評]

1月14日,武蔵野文化会館小ホールに,マチネーでピーター・フォン・ダイクのオルガン演奏会を聴きに行って来ました.

1958年生まれといいますから,50代半ばに近づいた,最盛期にある人という印象で,なかなか聴き応えがありました.

プログラムは,
バッハ:『クラヴィーア練習曲集 第3部』(全曲)でした.

「ドイツ・オルガン・ミサ」として知られるこの作品は、バッハが出版したオルガン曲では、最初でかつ最大の作品集です.1726年に自費で始めた《クラヴィーア練習曲集》の出版は、当初、一連のパルティータを1曲ずつに分けて印刷・販売する、という程度のものでしたが、時とともにシリーズとしての構想が徐々に膨らんでいったのは、周知の通りです.その第3回分として1739年9月末に刊行されたのが、この曲集です.様々な意味で苦境にあった時期に創作された ためか、作曲の手腕を誇示するかのようなところも随所に認められ、バッハがこの作品に託した夢と野心を窺わせます.

バッハが初版譜に刻んだ表題は以下の通りです,「教理問答歌およびその他の賛美歌に基づく
オルガンのための種々の前奏曲集.愛好家、および、特にこの種の作品に精通する人たちの心の慰めのために.ポーランド国王兼ザクセン選帝侯宮廷作曲家、およびライプツィヒ音楽隊監督、
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲」と書かれています.

曲集の構成は、
ドイツ語によるキリエとグローリアが3曲1組で3セット(BWV 669-677)、
2曲1組よりなる6つの教理問答コラール(BWV 678-689)、
4つのデュエット(BWV 802-805)、
そして全てを挟むような形で配置されるプレリュードとフーガ変ホ長調(BWV 552)の全27曲です.

武蔵野文化会館が,この27曲の標題のみを載せて,この曲集の解説にはまったくページを割いていないのはまことに残念で,不親切極まりありません.
武蔵野市国際オルガンコンクールを主宰している文化財団として,これは,いただけません.

全27曲は,3曲1組3セットとか,2曲1組3セットとかが続きますが,その場合,ほとんど3度ないし5度転調していて,曲の構成は聴き取ることが出来ました.
また,冒頭の「プレリュード」と結尾の「フーガ」は,それぞれ1曲で曲集の3曲くらいに相当するほど長く,内容も充実したモノでした.

演奏は,この曲のレコーディングをしているだけあって,たいへんメリハリを効かせた演奏で,休憩を挟んで2時間15分ほどの長大な曲を,飽きさせずに聴かせる充実したモノでした.
ただ,前半だけで帰ってしまった人,後半,バラバラと席を立つ人がいたのは,真面目に聴きに行った人にはいささか目障りでした.
それが武蔵野市民の文化水準の縮図だとすると,いかにも残念です.

 

 


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