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紀尾井ホール:トリフォノフ(pf)リサイタル [音楽時評]

昨日のチヤイコフスキー・コンクール優勝者ガラコンでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を弾いたダニール・トリフォノフのリサイタルを聴きに,紀尾井ホールに行ってきました.ほぼ満席に近かったと思います.

昨日気がつかなかったことを1点付け加えますと,昨夜はそれを意識しなかったのですが,今夜は,トリフォノフはファツィオリ(FAZIOLI)・ピアノというイタリアで独自開発された最高級ピアノといわれるピアノを持参(東京田町駅近くに同社のショールームがあるそうですから,多分そこから借用)して演奏していました.昨夜は確認しませんでしたから昨夜もそうだったのかは明記出来ません.このピアノをコンサートで聞くのは私には初めてでしたが,スタインウエイが高音部の一音一音が音が混ざってしまうことがありますが,このピアノは高音部が一音一音極めて明瞭でした.

なお,トリフォノフは,2010年ショパン.コンクールで1位がアブデーエワ,2位が2人いて,3位入賞してマズルカ賞を受けていました.4位が飛んで5位が続いていましたから,4人が僅差だったのだと思います.そこでは,アブデーエワの優勝を巡って議論があり,あとから全課程の審査員別採点表が公開されていますから,ご関心の方はご参照下さい.ただ,First~Third stage までは10点満点の採点,Final が1~10までの順位採点(昨年初めてアルゲリッチの提案で採用された)になっていますから,ご注意下さい.
昨年は19歳だったのですから,まだまだ成長盛りで,今年のチヤイコフスキーでの優勝に結実したのでしょう.また,昨日チャイコフスキー・コンクール:グランプリと書きましたが,このコンクールの歴史上2人目だそうです.

今年の初春にショパンコンクールのガラ・コンサートで来日して,各地で演奏会に参加していましたから,トリフォノフには既に若い女性フアンが出来ていて,プログラム終了後,何人もから多くの花束や贈り物袋を受け取っていました.また,終演後アンコールが続いている間にも,CDを購入した人が,サインを求めて,いち早く長い列を作っていました.

今夜のプログラムは,
ショパン:   舟歌 嬰ヘ長調 作品60
ショパン:   12の練習曲 作品25  名前が付いているものを列記しますと,
           第1番「エオリアンハープ」,第9番「蝶々」,第11番「木枯らし」,第12番「大洋」        
       ※※※※※※※※
シューベルト/リスト編: 春のおもい
                  ます
                水の上で歌う
 
                             魔王
シューマン/リスト編    献呈
  
リスト:     パガニーニによる超絶技巧練習曲集から「ラ・カンパネッラ〔鐘)」
リスト:     メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」
でした.

ショパンは「舟歌 作品60」も「12の練習曲 作品25」もよく演奏される曲ですが,昨夜のチャイコフスキーのピアノ協奏曲の輝かしい打鍵とは一転して,たいへん柔らかで優しい音を駆使して,しかしたいへん表現力豊かに弾いていました.テクニックに裏打ちされた表情の豊かさには,やはり抜群のモノがありました.

シューベルト/リスト編は,リストがたいへん技巧を凝らして編曲したモノですが,トリフォノフは軽々とシューベルトのテーマを浮かび上がらせていました.それはシューマンの「献呈」でも実に見事でした.

リストの2曲は,リストならではの超絶技巧を要求するモノでしたが,トリフォノフのテクニックは現代音楽作品が要求するテクニックを超えていますから,まことに華やかに名作を聴かせてくれました.

プログラム終演後,鳴り止まぬ拍手に答えて,6曲以上のアンコールを弾いていました.

丁度20歳という若さですから,できれば演奏会をセーブして,さらに.並外れた天賦の才能のいっそうの成長を続けることを期待してやみません.


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