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高輪区民センター:アレクサンドラ・スム(vn)リサイタル [音楽時評]

7月26日,アレクサンドラ・スムのヴァイオリン・リサイタルを聴きに,港区の高輪区民センター・区民ホールに行ってきました.前日に武蔵野文化センター小ホールで開かれたリサイタルと同一プログラムだったので,こちらに初めて行ってきました.      
なお,ピアノ伴奏は,今川裕代さんでしたが,まことに的確な伴奏だったと思います.

アレクサンドラ・スムは、1989年、ウクライナで音楽家の家庭に生まれ,ヴァイオリンを5歳の時から父親に学び、7才で、ウクライナで最初のコンサートを行ったっそうです.

2000年に、ウィーン音楽院に入り、さらにグラーツ音楽大学で、高名なボリス・クシュナー教授のクラスに学んでいます.

その後,イスラエルフィルやパリ菅を含むフランスの有名オーケストラと次々yと協演を重ね,他方で,数多くの国際的音楽祭にも定期的に出演しており、ヴェルビエ音楽祭、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン、ストラスブルク音楽祭、セント・デニス、メクレンブルク=フォアポンメルン、ルガーノのマルタ・アルゲリッチ音楽祭、グシュタート音楽祭、ドゥブロブニク音楽祭、マントン音楽祭、ブザンソン音楽祭、モンペリエのラジオ・フランス音楽祭、モントルーの9月音楽祭などがあげられます.

CDも,2008年春、ブルッフとパガニーニの協奏曲を,2010年春にはグリーグのヴァイオリン・ソナタを録音したセカンド・アルバムがリリースされています.

2010-2011シーズンは、BBCラジオ3のニュー・ジェネレーション・アーティストに加わるほか、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮イスラエル・フィルハーモニックとの4度目の共演、パリ管弦楽団との再共演、モスクワのロシア・ナショナル管弦楽団、ボーンマス交響楽団、そしてl今春の東京交響楽団との初共演が好評を博したほか,ブリュッセルのパレ・デ・ボザール、パリのルーブルでリサイタルも行っています.

プログラムは,
グリーグ:      ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調op.13
プロコフィエフ:  ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ長調op.94bis  
                ※※※※※※※※
ショーソン:    詩曲 op.2
チャイコフスキー:瞑想曲ニ短調「懐かしい土地の思い出」op.42より 
ラヴェル:     ツイガーヌ
でした.

今回が日本での初リサイタルだったのですが,CDを発売したばかりのグリーグを最初に取り上げていました.最後のラヴェルを除いて,いずれもすべて譜面台を置いて演奏していましたが,22歳の若さですから,最近風に,暗譜にいわば無駄な時間を使わなかったのでしょう.

たいへん音量豊かで美しい音を聴かせていましたが,気になったのはホールの天井が武蔵野や,紀尾井,上野文化小ホールなどと比べて,比較的低く,豊かな残響がないものですから,演奏の幅が狭くなっていて,十分には彼女の技巧,表現力が伝わらなかった嫌いがありました.
もっとそれを意識して,低音,弱音をフルに使うべきだったと思いますが,どうしても単調に聴こえてしまいました.特にグリーグは,はじめの序奏を除いて,Allegro vivace, Allegro trabqyullo, Allegro animato の3楽章でしたから,単調さが気になりました.

プロコフェィエフのソナタ第2番は,4楽章構成でしたから,演奏者の会場への慣れも加わったのか,かなり好演していました.とりわけ緩徐楽章の美麗さは見事でした.

後半の,ショーソン,チャイコフスキー,ラヴェルは,どれも名曲中の名曲ですが,好演ではありましたが,チャイコフスキーを別にして,もう少し柔らかい演奏をしても良いのではと思うことがありました.

前日の武蔵野文化小ホールに行っていけば良かったと,後になって考えました.


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