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武蔵野文化小ホール:オリーマンス(br)の「冬の旅」 [音楽時評]

7月12日,武蔵野文化会館小ホールに,トーマス・オリーマンス(br)が歌うシューベルトの「冬の旅」を聴きに行ってきました.ピアノ伴奏は,このホールでお馴染みの斉藤雅広さんでした.

1977年オランダ生まれのオリーマンスは,紀尾井シンフォニエッタのベートーヴェン第9交響曲「合唱」のソリストとして招かれたモノのようです.彼はヨーロッパの主要オーケストラのステージや主要歌劇場にたびたび出演しているようですし,今夜のロビーには「冬の旅」のCDが置かれていました.

ひと口で言いますと,彼の「冬の旅」はたいへんドラマチックでした.                       たいへん豊かな声量をフルに使って,一曲ごとに,ppからff までを駆使してたいへん情感溢れる演奏を聴かせてくれました.

第1曲の「おやすみ」で静かに入ったので,声量をセーブしているのかと思いましたら,メロディが繰り返される中間部で小ホールを震わすほどの声量を見せ,3度目の繰り返しで,中庸に戻っていました.

それは有名な「菩提樹」でも変わりませんでしたが,とりわけ「あふれる涙」で,素晴らしい表現力を見せてくれました.

ただ,「春の夢」や「道しるべ」では,ワン・パターンではなく,もう少し叙情性や情感を込めて欲しかったと思います.                                                          最後の「辻音楽師」の場合,最後のところで少し声を張り上げ過ぎたように感じてしまったのは,フィッシャー・ディスカウやハンス・ホッターの端正な歌唱と比較してしまったからでしょう,

それでも,全体としては,このホールで聴いた何人かの「冬の旅」のなかでは出色の好演だったと認めておきたいと思います,                                                   なお,斉藤雅広さんが,譜めくりさんなしで実に見事な伴奏を合わせていたのがたいへん印象に残りました.

また,これから予定されている紀尾井シンフォニエッタの合唱交響曲のバリトンは,きっと素晴らしいに違いないと思われます.


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