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サントリーホール:都響B定期大野和士指揮,庄司紗矢香ソロ [音楽時評]

6月18日,サントリーホールに東京都交響楽団B定期公演を聴きに行って来ました.
指揮に今日本の指揮界のトップにあるといえる大野和士,ソロにこれもパガニーニ・コンクールの優勝者で世界的なヴァイオリニスト庄司紗矢香が出演しており,外来オーケストラ並みの,たいへん豪華な顔合わせで,都響もそれに応えて大変な熱演を展開してくれました.

出演者を纏めますと,
指揮:    大野和士
Violin:  庄司紗矢香
コンマス;  矢部達哉
でした.

プログラムも意欲的で,
シェーンベルク: 浄められた夜 作品4
シマノフスキー: ヴァイオリン協奏曲 第1番 作品35
            ※※※※※※※※
バルトーク:    管弦楽のための協奏曲
でした.

浄められた夜は,リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっています,最初は弦楽六重奏曲として作曲されました.初期のシェーンベルクは,まだ無調音楽や十二音技法とは無縁で,極端な半音階の音楽ながら,調性は一応ニ短調となっています,
単一楽章ですが、デーメルの詩に対応して5つの部分から構成されており,いわば標題音楽となっています.
暗い陰影に包まれた音楽ですが,女性の告白1,男性の苦悩,女性の告白2(ff),男性の激しい動揺を経て,最後はppppのアルペジオで終わります.大変な陰影に富んだ好演でした.

シマノフスキーのヴァイオリン協奏曲は,三管編成のオーケストラに、チェレスタ、ピアノ、2台のハープを要する壮麗な単一楽章の作品です.シマノフスキーが生まれた当時,ポーランドは各国に分割されて地図上に存在しませんでしたが,1918年にポーランドが独立を達成する2年前に,この協奏曲は作曲されています.
友人の大ヴァイオリニスト,コハンスキーの助言を受けて作曲され,彼に献呈されたほか,カデンツァ部分は「コハニスキ作」と但し書きが残されているそうです.
東洋的な響きと印象派に連なる雰囲気を持ったユニークな大変な聴き応えのアル作品です.
庄司紗矢香は,上野製薬株式会社貸与のストレディヴァリュース「レカミエ」の音量豊かな美音を駆使し,終わり部分に現れる美しいカデンツァを含めて,大変な名演奏を聴かせてくれました.

バルトークの「管弦楽のための協奏曲」は,アメリカ亡命後の窮状を救おうとクーセヴィツキーの委嘱で書かれた作品で,オーケストラの各セクションのソロ奏者達が,入れ替わり立ち替わり,ソロ奏者のように演奏する興味深い作品です.
[導入部]Andante non troppo-Allegro Vivace/[対の遊び]Allegro Scherzando[悲歌]Andante non troppo/[中断された間奏曲]Allegretto/[終曲]Pesante-Presto の5楽章構成という多彩な曲ですが,大野の指揮に応えて,東京都響の各パートがたいへんがんばって,まことに華麗で壮大な協奏曲を展開してくれました.

また,ぜひ近い機会に,この組み合わせを聴きたいものだと強く感じました.

 

 


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