津田ホール:亀井良信(cl)+Qアルモニコ演奏会 [音楽時評]
6月8日,津田ホールに,亀井良信+クァルテット・アルモニコ;クラリネット五重奏演奏会を聴きに行って来ました.
出演者は,
Clarinet: 亀井良信
Violin: 第1, 菅谷早葉,第2,生田絵美
Viola: 坂本奈津子
Cello: 北口大輔(日本センチュリー響首席の臨時出演)
でした.
プログラムは,
ウェーバー: クラリネット五重奏曲 変ロ長調 作品34,J.182
西村 朗: クラリネット五重奏曲〈第一のバルド〉(東京初演)
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モーツァルト: クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
でした.
西村さんの曲は,2010年8月14日に草津音楽祭でカール・ライスターとクァルテット・アルモニコによって初演された曲で,今回が東京初演ということだそうです.
ウェーバーの曲は,クラリネットの名手に会って1811年に着手しながら,完成は1815年と特に4楽章の完成に時間がかかったといいます.急ー緩ーメヌエットー急=ロンドの4楽章構成ですが,モーツァルトの作品がA菅対象なのに,ここでは半音高いBb菅が使われているそうですが,オペラ作曲家としての好みが現れていると思われます.第1楽章は劇場空間的性格を持っているといえますし,続く楽章でも名人芸的なパッセージが随所に現れ,何かクァルテット伴奏付クラリネット・ソロといってよい作品でした.
西村さんの曲はA菅で書かれ,カール・ライスターに献呈されています.バルドはチベット仏教において死から再生までの死者の魂の体験する3つの期間をいいますが,ここでは肉体および人生の記憶と死者の魂の別離という代のバルドを扱っているので,それが副題になっています,
約20分の曲ですが,なかなか充実して変化に富んだ曲でした.
A菅がかなりはっきりとウェーバーの曲の独占的なクラリネットと違って,クァルテットとよく溶け合った演奏でした.臨時出演のチェロが結構活躍しますが,見事にクァルテットないし五重奏のアンサンブルに貢献していました.
モーツアルトの曲は,1789年に初演されたクラリネット五重奏の名曲ですが,急ー緩ーメヌエットー急の4楽章構成で,第1楽章の出だしがクァルテットから始まり,クラリネットがアルペジョ主体の動機で応えるという,クラリネット五重奏曲のお手本のような作品で,明暗の境を行き来する第2主題が,全曲の基調になっているといわれます.
この曲では随所でクァルテットが主導的に使われている点と,クラリネットがロー・レジスターの表現力に力点が置かれている点で,今夜のクラリネット五重奏曲を,クァルテット.アルモニコ好きで聴きに行った者には,たいへん楽しめる好演でした.
最初は少し気がかりだった臨時出演のチェロの北口大輔さんは,結構,室内楽の経験を積んでいるようで,そつなくこなしていて安心できました.
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