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サントリーホール:ポゴレリッチ・ピアノリサイタル [音楽時評]

5月9日,この人もラ・フォル・ジュルネと兼ねて来日したピアニストですが,超個性的なイーヴォ・ポゴレリッチのピアノ・リサイタルを聴きに行って来ました.

1980年のショパン・コンクールで,マルタ・アルゲリッチが,この人が本選に進めなかったのを批判し,「彼は天才だ」といって審査員を辞任したことで,一躍,有名になった人です.
1958年10月,ユーゴスラビアの首都ベオグラード生まれ.1980年、22歳のとき当時師事していた43歳の女流ピアニスト,アリザ・ケゼラーゼと結婚したり、弱音指定の箇所を強打する,早いパッセージをユックリ弾く,など型破りなことで知られた人です.それはケゼラーゼを喪ってから,いっそう顕著になったといいます.

プログラムは,
ショパン: ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 op. 35 「葬送」
リスト:   メフィスト・ワルツ第1番
        ※※※※※※※※
ショパン: ノクターン ハ短調 op.48-1
リスト:    ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178
でした.

音楽会場に行くと,通常,終演予定時間が掲示してあるのですが,この超個性的ピアニストのリサイタルについては,それがありませんでした.
実際,早いところはユックリと,弱音は強打して憚らない独自性,超個性的な演奏をする人なのです.
2010年のリサイタルを主催したカジモトの説明でも,前回2010年のリサイタルでは,ショパン「ピアノ・ソナタ第3番」が50分弱(通常25分),ラヴェル「夜のガスパール」(通常25分)も45分ほどかかったという、どれも倍くらいの所要時間だったという異例の事実があり,リサイタル自体が休憩20分をはさみ、なんと3時間半かかりました...とあります.
また,今年3月のベルリンでのリサイタルでは,
ショパン「ピアノ・ソナタ第2番」が約30分強(通常20分強),
リスト「ピアノ・ソナタ ロ短調」が約45分(通常30分)ですから,
まあ大体50%増しで、20分の休憩をはさんで2時間半くらいで終わったようです.と情報が伝えられていました.

今夜は,演奏時間でいいますと,前半が2曲で50分,休憩が15分,後半が2曲で70分位だったでしょうか.

開演から会場全体は暗くし,ステージも最小限の照明でボーッと浮かんでいる感じでした.理由はプログラムに載っていた記事によりますと,ポゴレリッチはコンタクト・レンズを使っているので,ステージが明るいと目が光って譜面を見難くなるというのです.
彼は常に自分で楽譜を持ってステージに現れ,譜めくりさんが付いて,譜面台の楽譜を見ながら演奏していました.これだけユニークな演奏をする人が,これほどの名曲を並べて,暗譜ではなく譜面を見ながらの即興性によっていたことに,たいへん驚嘆しました.

そこまで個性的でしたから,プログラムの有名曲のどれも,よくここまで個性的に弾けるモノだと感嘆しながら聴いていました.

どう個性的だったかといわれても困るのですが,1点だけあげますと,ショパンのソナタの葬送行進曲部分は,ほぼ一貫して弱音で弾き通したのが印象的でした.

プログラムの中に,ポゴレリッチの語録が2頁にわたって載っているのですが,「私はアンコールは弾きません.もしまだ完全ではないと思ったならばパラキレフののイスラメイのようなものを弾くことがあるかも知れません」とあります.
私も,聴衆として,アンコールは聴かない主義なので,なるべく端の席に座って,1回カーテンコールをしたら席を立ちますから,アンコールがあったかどうかは知りません.

 



 


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