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武蔵野文化大ホール:ロシア国立ウラル・フィル演奏会 [音楽時評]

5月7日,武蔵野文化会館大ホールに,ロシア国立ウラル・フィルハーモニ管弦楽団の演奏会を聴きに行って来ました.指揮者は同楽団の音楽監督ドミトリー・リス,そしてヴァイオリン・ソロにキリル・トルソフが参加していました.

ウラル・フィルハーモニ管弦楽団は,ラ・フォル・ジュルネで5月3~5日とブラームスのヴァイオリン協奏曲【テディ・パパヴラミやリストのピアノ協奏曲第2番【広瀬悦子】,ブラームスのピアノ協奏曲第2番【ボリス・ベレゾフスキー】,ブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲【庄司紗矢香&タチアナ・ヴァシリエヴァ】,ブラームスのピアノ協奏曲第1番【小山実稚恵】などなどと,八面六臂の活躍というか,便利屋さん扱いされてきたばかりで,さぞお疲れだったろうと心配していました.

トルソフは,1982年生まれ,ユーディ・メニューイン国際コンクール.オレク・カガン国際音楽祭,ヴィエニャフスキー国際ヴァイオリン・コンクールで立て続けに首位になり,国際舞台に登場したそうで,使用楽器は,チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の初演に使われたストラディヴァリウス”ブロドスキー”だといいます.

プログラムは,
チャイコフスキー:組曲『くるみ割り人形』 Op.71a より
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
        ※※※※※※※※
リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェヘラザード』 Op.35
でした.

『くるみ割り人形』は抜粋で,
ⅠMiature Overture,
ⅢDance of the Sugar-plum Fairy, 
ⅥChinese Dance,
ⅧDance of the Reeds,
ⅣRussian Dance "Ttrpak"
の5曲が演奏されました.いろんなオーケストラ編曲があるので,プログラムに明記すべきだったと思いますが,今夜はProgram Note なしという不親切さでした.
ここでは比較的小編成のオーケストラで,4曲がお手の物でもあったようで,たいへん穏当な演奏に終始し,安定した好演でした.

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ですが,ここではかなりハッキリとリハーサル不足が目立ちました.ソリストが協奏しない場面ではオーケストラはすごく早いテンポで飛ばしていましたし.管楽器が優れた楽団だった所為もありますが,ヴァイオリンが弾いているところに管楽器が無遠慮に大音量を響かせたりしていました.
超有名ソリストを相手の苦労からの開放感があったのだと思いますが,せっかくストラディヴァリの美音を響かせていた30歳のヴァイオリニストにはいささか気の毒に感じました.
ただ,この有名曲の演奏で,第1楽章のあとにかなり大勢の人の拍手が入ったのにはビックリしました.クラシック音楽で有名な武蔵野市で起こるとは想像外だったからです.
あるいは管楽器の無遠慮さは,これが遠因になったのかも知れません.

『シェへラザード』は,千夜一夜物語の語り手、シェヘラザードの物語をテーマとした4楽章の曲です.
Ⅰ海とシンドバットの船
Ⅱカランダール王子の物語
Ⅲ若い王子と王女
Ⅳバグダットの祭りー海
の4楽章ですが,お得意の弾き慣れた曲だったようで,なかなかの好演でした.
このオーケストラの特色は管楽器,とくに金管楽器の輝かしさにあるようで,この4曲の2/3位はトロンボーンとトランペットとチューバがすごくよく鳴っていました.ホルンはそれほどでもありませんでしたが,これほど金管本位の演奏は久し振りだったので,結構,楽しめました.ただ,それも五弦が良く鳴っており,とりわけコンマスとチェロの首席が誠に見事なソロを,たびたび入れていたからです.特にコンマスの美音は,稀にしか聞けないといって良いほどでした.

とにかくお疲れのところをそれなりの好演を誠にご苦労様でした,と申し述べたいと思います.

 


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