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トッパンホール;ヘルムヘン,エーベルレ,石坂トリオ [音楽時評]

4月9日,トッパンホールに,マーティン・ヘルムヘン(pf),ヴィロニカ・エーベルレ(vn),石坂団十郎(cello)のトリオを聴きに行って来ました.

3人ともトイツ生まれのドイツ育ちで,へルムヘンは2001年クララ・ハスキル優勝歴し,世界的なオーケストラとの協演歴を重ね,NHK交響楽団にも2度招かれている期待の若手です.
エーベルレは,コンクール歴はないのですが,この人も欧米の有名オーケストラとの協演歴を重ねており,NHK響とも2度協演している期待の若手です.
石坂団十郎は,父親が日本人,母親がドイツ人で,ドイツ生まれ,2001年ミュンヘン国際,フォイアーマンCompetition に優勝し,ヨーロッパの主要オーケストラとの協演,NHK響とも協演している若手の才人です.

弦楽器は,2人とも,日本財団からストラディヴァリを貸与されており.ヴェロニカが1700年作の「ドラゴネッティ」、団十郎が1696年作の「ロード・アイレスフォード」です.

この3人がトリオを組んで来日したのですが,トリオはクァルテットと違って,3人が比較的自由に弾けば良いのですから,随時,適切な組み合わせで楽しめる組み合わせである点に特徴があります.

今回の来日が初めての3人の共演だそうで,大分,熊本,福岡,東京トッパンでトリオ出演,あと,ノリントン指揮のNHK響にベートーヴェンのトリプル協奏曲で出演予定です.

ドリオのプログラムは,
ハイドン:   ピアノ三重奏曲 ハ長調 Hob.XV-27
ブラームス:  ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 Op.101
          ※※※※※※※※
シューベルト: ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 D898 Op.99
でした.

九州で既に3回同じ曲目で共演を重ねてきたのですから,全開のピアノがやや強く響いていたほかは,誠にありがとうございます.見事なトリオ演奏でした.

ハイドンは急ー緩ー急の3楽章構成で,この曲ではとりわけピアノが前面にでていましたが,それは大きくはピアノが未だ金属弦を鳴り響かせる楽器でなかった故だと思われます.弦はやや控え目でしたが,ストラディバリは誠に優美な音を響かせていました.

ブラームスでは,急ー急ー緩ー急の4楽章構成ですが,ほぼ現代楽器に近付いたピアノとの組み合わせですから,ヴァイオリンもチェロもよくバランスしていました.
急ー急ー緩ー急の4楽章構成ですが,あまり短調を感じさせない華やかさを持った曲調です.特に緩徐楽章はハ長調の明るい曲調で,3人によって美しく演奏されました.続くフィナーレも昂揚して終わりました.

シューベルトの三重奏曲は短命だった作曲者の最晩年に作曲されたと考えられ,ピアノの名曲ピアノソナタ第19番第20番第21番や名作「冬の旅」と相前後して書かれたと推定され,演奏に約40分を要する大作です.
急ー緩ースケルツオ(急)ーロンド(急)の構成です.ピアノの刻みの上に,ヴァイオリンとチェロが朗朗と歌う第1楽章から斬新さを印象づけ,第2楽章でも初めチェロ,続いてヴァイオリンが優美に歌って聴かせます.第3楽章で初めてピアノが主導していますが,終楽章ではヴァイオリンが歌い出して始まり明るさのうちに終わります.
この曲で,3人がたいへん伸びやかに共演,好演してくれました.

とにかく,これだけの若き才能が揃って,たいへん充実した三重奏曲を伸びやかに好演してくれたことが強く印象に残りました.

この3人を是非にも聴いてみたい方には,4月14,15日のNHK交響楽団との協演,ベートーヴェンの名曲,トリプル協奏曲をお薦めします.


 


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