東京春音楽祭:ブラームスの室内楽~堀米ゆず子と仲間たち~ [音楽時評]
4月7日,マチネーからアンコールを聴かずに移動して,辛うじて5分遅れでソワレ開演前に座席に着けました.
出演者は,
ヴァイオリン: 堀米ゆず子
ヴィオラ: ロジャー・チェイス
ピアノ: 津田裕也
でした.
ロジャー・チェイスはロンドン生まれの名手で,ソリストとしての世界的な活躍の外,ナッシュ・アンサンブルなど室内楽活動おも活発に行っているそうです.
プログラムは,オール・ブラームスで,
ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 op.120-2
ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108
※※※※※※※※
ホルン三重奏曲 変ホ長調 op.40(ヴィオラ版)
でした.
最初のヴィオラ・ソナタは,最初はクラリネット用に書かれた作品ですが,後に,ブラームス自身によって,ヴィオラ版への編曲が行われた作品です.チェイスは伝説の名器モンタニアーナを使っているそうです.
最初のヴィオラ・ソナタはなかなかの絶品と言って良いほどの名演でした.朗朗と響くヴィオラの麗美な音の響きに圧倒されました.
ヴァイオリン・ソナタ第3番は,ブラームス最後のヴァイオリン曲ですが,久し振りに聴く堀米ゆず子さんの名演にうっとりする程でした.
最後のホルンをヴィオラに持ち替えたホルン三重奏曲は,ブラームスもこの持ち替えを認めていたといわれます.そもそも柔らかな音響のナチュラル・ホルンのために書かれたモノですから,ヴィオラの持ち替えに異存はなくて当然だと思われました.
事実,チエイスの美しい音量十分なヴィオラ三重奏は,緩ー急ー緩ー急の4楽章構成の曲をたいへん伸びやかに好演してくれました.
アンコールに,この三重奏曲の第2楽章が再演されましたから,ややゆったりした中間部を含むテンポの早い楽章が,印象に残りました.
堀米ゆず子さんが構成して実現した室内楽と思いますが,来年も又,素晴らしい構成の室内楽演奏会を期待したいモノです.
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