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杉並公会堂:ボロディン弦楽四重奏団の名演 [音楽時評]

3月2日,久しぶりの杉並公会堂に,ボロディン弦楽四重奏団演奏会を聴きに行って来ました.ハッキリいって,ここの音響は,武蔵野文化会館小ホールより倍の収容人員でも,一段上の良い音響環境にあると思いました.

ボロディンは,数年前に,武蔵野文化会館小ホールで聴いて以来です.その時は,創設メンバーで唯一残っていたチェリストが辞任するので解散するという話題があり,ショスタコーヴィッチの弦楽四重奏曲15番(最後の曲)を,4本の蝋燭を立ててお別れの演奏をした記憶が残っています.

しかし,その後,チェロに素晴らしい奏者を迎えて,存続させてから,昨年さらにヴァイオリンに交替がありましたが,それ以来,初めての来日だと思います.
現在のメンバーは,
ルーベン・アハロニアン(Vn),
セルゲイ・ロモフスキー(Vn),
イゴール・ナイディン(Va),
ウラディミール・バルシン(Vc)
です.

今夜のプログラムは,
チャイコフスキー: 弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 op.11 「アンダンテ・カンタービレ」
ストラヴィンスキー:コンチェルティーノ
        ※※※※※※※※
ボロディン:          弦楽四重奏曲第2番 に長調
でした.

チャイコフスキーの曲は,有名な第2楽章以外にも美しい旋律が多く、チャイコフスキーらしい情熱的な展開が魅力的です.各楽器の扱いが管弦楽の縮図のようで,室内楽のスタイルらしくないといわれたりしますが,それも意外な効果を見せています.
第一楽章 Moderato e semplice ニ長調 9/8拍子は,息の長い第1主題で始まるソナタ形式で,テンポを早めた華麗な終わり方が印象的です.
第二楽章 Andante cantabile 変ロ長調 2/4拍子 は1度聴いたら忘れがたい有名な旋律は,チャイコフスキーがウクライナで聴いた民謡に題材を得ているといわれます.
第三楽章 Scherzo (Allegro non tanto e con fuoco) ニ短調 3/8拍子 は活気に満ちたスケルツオ楽章です.第四楽章 Finale (Allegro giusto) ニ長調 4/4拍子 は,ロシアの民俗舞曲風の第1主題をもつソナタ形式で,憂鬱なアンダンテ部分をはさみ、激しいフィナーレで終わります.

ストラヴィンスキー:コンチェルティーノは,後に12楽器用に改訂された現代曲で,多彩な奏法が駆使された変化に富んだ曲です.

後半のボロディンの第2番は,ボロディンが妻に愛を告白した20周年の記念として、エカテリーナ・ボロディナ夫人に献呈された作品です.特にその第3楽章 Nocturne:Andante が独立に演奏されることがあるほど有名で,これも1度聴いたら忘れがたいメロディーです.

とにかくボロディン弦楽四重奏団が素晴らしいアンサンブルを見せて,これぞ弦楽四重奏という最高の演奏を聴かせてくれました.特に,チェロが見事なまでにクヮルテットに溶け込んで,レベルの高い演奏を展開していました.
まったく久しぶりにクヮルテットの最高レベルの演奏を,音響の優れたホールで聴くことが出来て,たいへん満足した1夜でした.

なお,アンコールに,確信はないのですが,ボロディンの「スペイン風セレナード」が演奏されました.

今回の来日では,もう一度,浜離宮朝日ホールで,3月5日に,ブラームスの弦楽四重奏曲第2番と原田英代が加わった,シューマンのピアノ五重奏曲の演奏会があり,得チケに回っているようですから,ご関心の方はぜひご鑑賞下さい.
私は浜離宮にも行きますが,ぜひまた杉並公会堂に再来日して欲しいモノです.

 

 


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