武蔵野文化小ホール:シューマン弦楽四重奏団演奏会 [音楽時評]
2月24日,武蔵野文化会館小ホールに,シューマン弦楽四重奏団を聴きに行って来ました.結成が2007年といいますから未だ駈けだしのクヮルテットです.それでも大阪国際室内楽コンクールでは2位,2012年オーストリアで開催されたシューベルト&現代音楽コンクールというのでは優勝したそうです.
シューマンは,第1,第2ヴァイオリン,それにチェロがシューマン兄弟なので名付けられたそうです.ヴィオラに日本人の後藤彩子さんが加わっていました.2009年からといいますから,結成2年目で交替があったことになります.
今夜のプログラムは,
ハイドン: 弦楽四重奏曲 第66番 ト長調 Op.77-1,Hob.Ⅲ-81「ロブコヴィッツ」
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 「クロイツェル・ソナタ」
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シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 二短調 「死と乙女」 D.810
でした.
偶然でしょうか,ハイドンの曲は,作品番号の表記が違っていますが,先日,東京クヮルテットが第1曲目に弾いた曲で,その印象が強く残っていたモノですから,出だしからガッガリしました.
クロイツェル・ソナタはこの直前のブログで,Julliard String Quartet の新メンバーによる演奏評で,クロイツェルの演奏が白眉だったとして述べられていたことが頭に残っていて,これも頂けませんでした.そこでは,
The highlight of the evening was a brooding, nuanced interpretation of Janacek’s Quartet No. 1 (“Kreutzer Sonata”), ... They aptly conveyed the yearning, urgency and bittersweet joviality of this richly scored work. と書かれていたのですが,シューマンはそれにはほど遠かったと思います.
シューベルトの超有名な「死と乙女」も頂けませんでした.
この弦楽四重奏団は,いったいどこまでが常設なのだろうといぶかしく思いました.アンサンブルが決して綺麗ではないのです.チェロが目立つのは悪いことではありませんが,このチェロは高音弦と低温弦で音色が違ってしまうのです.とくに低弦部では音色が濁ってしまって,クロイツエルでも「死と乙女」でも,チェロの低弦が大きく鳴るところでは,全然頂けませんでした.
それが全体をぶちこわす他にも,第1,第2ヴァイオリンが和音になるべきところが,音色がずれていて綺麗な和音にならないのです.
ヴィオラは健闘していたと思いますが,アンサンブルを救うまではいけませんでした.
兄弟姉妹でクヮルテットをやっている老舗にハーゲン弦楽四重奏団がありますが,私が何度も聴いた範囲では,出来不出来の波が大きかったという印象があります.
このシューマンもそれに似たところがあるように思うのですが,3人兄弟が本当に喧嘩腰でアンサンブルの修正を図ることには無理があるのではないでしょうか.僅か2年でヴィオラが交替したのも,さもありなんという感じでした.
丁度,タイミングの悪い日に聴きに行ってしまったのがいけなかったのですが,酷評をしてしまいました.いつもではありませんから,ご了承下さい.
なお,この弦楽四重奏団は26日には秋田県の大仙市で,今夜と同一曲目の演奏会が予定されています.
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