トッパンホール:D.ホープ(vn)リサイタル [音楽時評]
2月23日,トッパンホールに,ダニエル・ホープのヴァイオリン・リサイタルを聴きに行って来ました.ピアノ伴奏は,セバスティアン・クナウアーでした.
ホープは,1974年南ア生まれ,ロンドンに移って,Royal Music Academy でザハール・ブロンに師事,メニューインに見出されて,彼と1999年まで60回以上の協演を重ねたといいます.
その後はウイーンに住んで,世界的に協奏曲やリサイタルで幅広く活躍し,録音も重ねている世界的なヴァイオリニストといえます.
今夜のプログラムは,
ブラームス: G.A.E.ソナタよりスケルツォ
クララ・シューマン: ロマンス Op.22-1
ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 Op.78 「雨の歌」
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メンデルスゾーン(D.Hope/S.Kmauer編):
歌の翼に Op.34-2
魔女の歌(もう一つの五月の歌) Op.8-8
ヨアヒム: ロマンス 変ロ長調 Op.2-1
ブラームス(ヨアヒム編):ハンガリー舞曲第5番 ト短調
グリーグ: ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 Op.45
でした.
ホープは現代曲の初演歴でも知られた人ですが,なぜか今夜のプログラムは,ドイツ中心にノルウエーが加わって,編曲モノも加わり,クララ・シューマンやヨアヒムを取り上げた点は評価できますが,ちょっと焦点が定まっていない感じがしました.ヨアヒムはブラームスやベートーヴェンのカデンツァの作曲で既に有名ですよね.
ホープのヴァイオリンはほとんど超絶技巧に近いテクニックを駆使して,ヴァイオリンの多様な音を自在に操っていましたが,ブラームスのソナタ,グリーグのソナタのいずれもほぼスタンダードな演奏で,歯切れの良さを別にすれば,ホープならではの個性を感じさせるモノがありませんでした.
私は日程が重なって聴きませんでしたが,同じトッパンホールでの2月11日のクラマジランの演奏は希に見る個性的なモノだったと聞いていたモノですから,いくらかそれに近いモノを期待してしまっていたのが間違いの元だったかも知れません.
いいなおしますと,とにかく確かなテクニックを持って,躍動的な演奏をたっぷり聴かせて貰った点を,高く評価したいと思います.
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