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逗子なぎさホール:クァルテット・アルモニコの好演 [音楽時評]

私にとっては,遠路はるばるになりますが,久しぶりのクァルテット・アルモニコの演奏会を聴きに行って来ました.

1人,都合でメンバーの一時的交代があり,今日のメンバーは
ヴァイオリン:菅谷早葉,荒井知美(生田絵美の代役)
ヴィオラ:   坂本奈津子
チェロ:    富田牧子
でした.

プログラムは,
モーツアルト:  弦楽四重奏曲第3番 ト長調 K.156(K.134b)
モーツアルト:    弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K.387
          ※※※※※※※
ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96,B.179「アメリカ」
でした.

なぎさホールはおよそ650名ほどの中規模ホールですが,ステージ上部に反響板をつけても,やはり残響が不足していました.空気も乾燥していましたから,ほとんどダイレクトにしか音が響かなかったように思います.

そえでも演奏は常連メンバーに引けをとらない好演をしていました.
特に1音1音を確実に綺麗な音で弾く菅谷早葉は健在でしたし,荒井知美さんもメンバーに溶け込んだアンサンブル作りに貢献していました.
そしてこのクァルテットの長所は,ヴィオラとチェロの音が着実にクァルテットのアンサンブルに貢献するように要所を締めて,しっかり4弦の支えになっていることです.特に,富田牧子さんがチェロをしっかりコントロールして,ソロを弾くときはしっかり美しく,他の場面ではクァルテットにしっかり溶け込んでいた点は,これまでにない出色の出来だったと思います.

モーツアルトの第3番は,ミラノ四重奏曲2番と呼ばれるイタリアで書かれた作品で,Presto,  Adagio, Tempo di menuetto の3楽章構成で,爽快さ,哀切さ,そして宮廷舞曲といった流れです.アルモニコは軽快に好演してくれました.

14番は,『春』と呼ばれることもあるウイーンで作曲されたハイドン・セットの1番です.
第1楽章 Allegro vivace assai,
第2楽章 Menuetto. Allegretto - Trio,
第3楽章 Andante cantabile,
第4楽章 Molto allegro
と4楽章構成となっており,モーツアルトが結婚した幸福感が現れている第1楽章,ダンス音楽の中間部に少し陰鬱さを帯びた第2楽章,各楽器が歌いながら対話する第3楽章,フーガ形式で充実したアンサンブルを展開する第4楽章という充実した構成です.
この第3,第4楽章は,なかなか充実した演奏でした.途中,第1ヴァイオリンが珍しく音が不安定になった箇所がありましたが,ほとんど目立たないモノでした.

後半の「アメリカ」はクァルテットを代表する有名曲ですが,ここでは4人が実に充実したアンサンブルを聴かせてくれました.特に第2楽章のいわゆるアメリカの黒人霊歌にヒントを得た楽章はまことに見事な演奏でした.

アンコールには,新メンバーが参加していたこともあって,モーツアルトの第3番の第2楽章Adagio
が演奏されました.

前に,武満徹が,クァルテットを聴くときは,服装の色調が気になるので,カザルスホールでは目を閉じて聴いていると書いていましたが,新メンバーの故もありますが,今日のアルモニコを聴いていて,演奏は素晴らしかったのですが,私は武満さんを思い出していました.

次の公演が今から楽しみです.

 

 


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