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サントリーホール:読響定期,上岡指揮,ブランク(sp) [音楽時評]

1月25日,サントリーホールに読売交響楽団第511回定期演奏会を聴きに行って来ました.
私はかねて小澤征爾と大植英次にはアメリカで幻滅し,代わって,大野和士と上岡敏之を高く評価しているのですが,その上岡がマーラーの第4交響曲を振るというので出かけたのです.

プログラムは,
モーツアルト: 交響曲第34番ハ長調 K.338
            ※※※※※※※
マーラー:    交響曲第4番 ト長調〈大いなる喜びへの賛歌〉 ソロ:ブランク(sp)
でした.

モーツアルトの交響曲第34番は余り演奏されない曲ですが,
1.Allegro vivace 2.Andante di molto piu tosto Allegretto 3.Allegro vivace の3楽章を,上岡は,この曲の構成をくっきりと浮き彫りにさせる,身体全体を使った精妙な指揮で,好演してくれました.アンコールで3回もステージに呼び戻されていました.

マーラーの第4番は,ほぼ1時間弱のマーラーにしては短い曲ですが,4楽章構成で,
第1楽章:中庸の速さで、速すぎずに.ト長調4/4拍子 ソナタ形式
第2楽章:落ち着いたテンポで、慌ただしくなく.スケルツォハ短調3/8拍子 三部形式
第3楽章:静かに、少しゆるやかに ト長調 4/4拍子 変奏曲形式
第4楽章:非常に心地よく.ト長調 4/4拍子
と,あまりテンポの変化は明確ではありませんが,各楽章が独立性を持ちながら,実は密接に結びついています.第4楽章はソプラノ独唱で「少年の不思議な角笛(天上の生活)」が用いられていますが,それは,第2楽章,そしてとりわけ第3楽章でも用いられており,楽章間の連関が形成されています.

上岡は,この総体的にゆったりしたテンポの各楽章を,実に丁寧に音響の強弱をたっぷりと効かせて,たいへんドラマティックに演奏して呉れました.時にオーバーでは?と感じさせるほどでしたが,第1楽章で,いったん収束した上で,フエルマータを巧みに使って,最弱音から最強音まで盛り上がりを作って終始させた演奏はまことに見事でした.
第2,第3楽章でも曲の盛り上がらせ方は充実していましたが,2楽章では.コンマス藤原浜雄の長2度高く調弦したヴァイオリン・ソロが入っていました.
3楽章の盛り上がりから入ったソプラノ・ソロ入りの第4楽章では,歌詞がフモレスケというか,ユーモア混じりの歌詞ですから,あまり盛り上がらずに,比較的,静かに終わりました.
ソプラノのキリステン・ブランクは,トイツ人歌手ですから,よく曲に乗せて透き通るような美声で歌っていました.

改めて上岡敏之の実力を示した,たいへん内容豊かな演奏会だったと思います.

 

 


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