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サントリーホール:都響B定期,野平&杉山指揮 [音楽時評]

1月24日,サントリーホールに東京都交響楽団B定期公演を聴きに行って来ました.(日本管弦楽の名曲とその源流⑭プロデユース:一柳慧)を聴いてきたのです.

野平一郎の作品を2曲,野平一郎が指揮し,2曲目に堤剛がチェロのソロを担っていました.休憩後にブーレーズの曲を,若手の杉山洋一が指揮していました.

プログラムは,
野平一郎:  オーケストラのための「トリプティーク」
野平一郎:  チェロとオーケストラのための「響きの連鎖」  ソロ:堤剛
       ※※※※※※※※
ブーレーズ:  エクラ/ミュルティプル(2002年最新改訂版・日本初演)
でした.

野平の「トリプティーク」は3楽章構成で,1.音のかたち,2.リズムの遊び,3.色の隔たり,が続けて演奏されました.1では,ハープに始まった単純な摩擦音が,次第に多様な楽器によって複雑化され.それが打楽器の強弱の音型によってt静まります.2では,さまざまなパルスやリズム感が堆積し,次第に収まると,3では,音響の不均衡が遠近感やでこぼこ感が連続して表現されます.
なかなか興味深かったのですが,後半のブーレーズに見られたような斬新さからは少し距離があったように思います.

野平の「響きの連鎖」は4楽章構成で,1.自然の荒々しさの森,2.木から楽器へ,3.楽器は語り始める,4.楽器の成長,そして響きは宇宙へ,と響きの連鎖が,チェロ協奏曲の形で描かれています.最初,暗くなったステージの中で,チェロ,ピアノ,3つの大太鼓,シンバルにだけ照明が当たり,チェロが音楽的形象を象徴します.2では,低弦から次第に照明が広がって,高音域へと広がり,協和的な2つの和音で閉じられます.3では,この2つの和音が菅と弦で応答し合い,オーケストラ全体を巻き込んだ上でチェロが1を回想します.4は,チェロと3管編成オーケストラの対応する楽章で,フィナーレでは,1で見た4人の打楽器とピアノ,チェロが反復されて閉じられます.
どちらかというと日本人的な自然感覚が表現されているように思われました.

ブーレーズは,エクラとミュルティプルの2楽章構成ですが,楽器構成から視覚的にも斬新でした,
登場楽器は,エクラではアルトフルート,イングリッシュホルン,トランペット,トロンボーン,クロッケンシュピール,ヴィヴラフォン,チャイム,マンドリン,ギター,ツインバロ,ハープ,ピアノ2台持ち替え,チェレスタ,ヴィオラ,チェロですが,ミュルティプルで,やっと前列にいたビオラ9人とパセットホルンが参加します.
たいへん緻密な音楽なので,エクラが15人,ミュルティプルで25人,それでも弦楽部門はチェロ1人とヴィオラ10人,マンドリン,ギターという構成です,チョロとヴァイオリンを兼ねるヴィオラの位置づけにたいへん興味深いモノがありましたし,この人数と多彩な楽器群で,しかも12音技法をバラして,いくつもの和音を作り,きわめてフレキシブルに和音を多用していました.
たいへん視覚的にも興味深い緻密な作品でしたが,若手指揮者,杉山洋一が,完全にこの曲を把握して,実に詳細な指揮振りで好演して呉れました.

個人的には,やはりこのブーレーズの大物振りを実感させられた一夜でした.
それにしても,今夜の聴衆は50%前後しか入っていませんでしたが,こうした「日本管弦楽の名曲とその源流」というシリーズは,東京都響の聴衆の支持を得ていないということなのでしょうか,私としては,今夜は前日からの雪が未だ残って,かなり寒い夜だったことも原因していると考えて置きたいと思いますが.....

 


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