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武蔵野文化小ホール:ヴォロディン・ピアノリサイタル [音楽時評]

梶本e+のピアニスト・シリーズでヴォロディンのチケットを持っていたのですが,今月25日はどうしても私が日本人指揮者で大きな期待をかけている上岡敏之が読売交響楽団に客演するのを聴きたくて,オペラシティ公演は人に譲り,今夜,武蔵野文化会館小ホールに,ロシア出身のアレクセイ・ヴォロディンを聴きに行って来ました.

プログラムは多彩で,
シューベルト:   4つの即興曲 D.899
ベートーヴェン:  ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」
       ※※※※※※※※
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲 (編曲;プレトニョフ)
Nカプースティン: ピアノ・ソナタ 第2番 Op.54
でした.多分,前半は25日のリサイタルと同じだと思います.

シューベルトの即興曲で,この人の特徴が既に明らかでした.
第1には,当たり前ですが,楽譜に忠実に弾くなかで,強弱を強調していたことです.ただ,もう少し別の即興性があっても良かったのではないでしょうか,
第2に,かなり左手が強く弾かれる傾向があること,即興曲で右手がメロディを奏で,左手がトレモロを弾き,次にそれが逆転して,左手がメロディを奏でる時に,こちらの方が際立っていました.
全体としては,強弱の強調が目立って,もっと柔らかな曲だったのでは,という印象が残りました.

「悲愴」は,ほとんど一気呵成に,力任せに弾かれた印象が残りました.第1音がかなり強く叩かれたのが印象的でした.

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」はお手の物だったようで,たいへん分かりやすく弾いてくれました.

ウクライナ出身のカプスーチンは,ネット上で調べますと, 1937年生まれで,During the 1950s he acquired a reputation as a jazz pianist, arranger and composer. He is steeped, therefore, in both the traditions of classical virtuoso pianism and improvisational jazz. He fuses these influences in his compositions, using jazz idioms in formal classical structures.
とあるように,このソナタはきわめて斬新なモノでしたが,これを完全にマスターして弾いてくれたヴォロディンに敬意を表したいと思います.
ただ,これだけの即興性を持ったピアニストが,どうして前半の曲群で,それを垣間見せてくれなかったのだろうと,残念に思いました.

今夜が,おそらく来日後,最初の演奏会だったのかと思いますが,大胆にこのフュージョンにチャレンジしてくれたことに,謝意を表したいと思います.

 

 

 


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