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紀尾井ホール:南紫音ヴァイオリン・リサイタル [音楽時評]

1月17日,紀尾井ホールに南紫音のヴァイオリン・リサイタルを聴きに行って来ました.ピアノ伴奏は江口玲でした.
私は彼女を,フェスティバル・ソロイスツの室内楽演奏会に参加していたのを聴いたのと,JTアートホールで,期待の新人として,やはりトリオをメインにした演奏会でしたが,その最初にサンサーンスのヴァイオリン・ソナタを弾いたのが印象に残っていて,今夜の紀尾井ホールでのヴァイオリン・リサイタルを期待を持って聴きに行って来ました.

なかなか考えられたフランスの作曲家を集めたプログラムで,
プーランク: ヴァイオリン・ソナタ(『ロルカの追憶に』)
ラヴェル:  ヴァイオリン・ソナタ ト長調
       ※※※※※※※※
フランク:   ヴァイオリン・ソナタ イ長調
でした.

プーランクの曲は,スペイン内戦で亡くなったフェデリコ・ガルシア・ゴルカの追悼のために作曲された曲で,急ー緩ー急の3楽章が,「炎のごとく」「間奏曲,とてもゆっくりと静かに」「悲劇的に」と指定されており,第2楽章のIntermezzo(間奏曲)が,とりわけゴルカを回想しています.
終楽章「悲劇的に」は駆り立てるようなフィナーレで,その終結部は,悲劇の連続を問いかけるように終わります.初演は,1943年に,名ヴァイオリニスト,ジネット・ヌブーとプーランク自身のピアノで行われています.
南紫音さんは,たいへん美しい音を奏でながら,確かなテクニックで,この曲を好演してくれました.

ラヴェルのソナタはやはり3楽章で,Allegro, Blues:Moderato, Perpetuum Mobile(無窮動): Allegretto と今流にいえば,クロス・オーバーといえるような作品です.有名なヴァイオリニスト,エネスコとラヴェル自身のピアノで1927年に初演されています.
南紫音さんは,この幅広く複雑な曲を,まことに明快に,自家薬籠のモノとして好演してくれました.

フランクは,余りにも有名な曲ですから,曲を云々することはしませんが,イザイに献呈された作品で,1886年にイザイによって初演されています.
急ー急ー緩ー急の4楽章構成の曲ですが,このヴァイオリンの名曲中の名曲を,南さんは,下降音型が続く箇所でやや不安定でしたが,それ以外は完璧で,実に堂々と自己主張をしながら,しかし全体としては端正に好演してくれました.聴きながら,数年前に聴いた神尾真由子の個性的なフランクを思い出していました.

私は,アンコールは聴かない主義なのですが,今夜はフランス・モノのあと何をやるのだろうという関心から,聴いてしまいました.2曲ですが,
フォーレ:   夢のあとに
ドビュッシー/ハイフェッツ編曲:美しい夕暮れ
でした.
特にフォーレは,まことに美しい鳥肌の立つような名演で,今夜の演奏の中で最高のモノではなかったでしょうか.
アンコールを聴かない主義は,人を見てに,趣旨替えしようと思ったほどでした. 


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