東京文化小ホール:ヴォスクレセンスキー(pf)リサイタル [音楽時評]
12月7日,東京文化会館小ホールに,ミハイル・ヴォスクレセンスキーのピアノ・リサイタルを聴きに行ってきました.
ミハイル・ヴォスクレセンスキーは,1935年ウクライナ生まれ,モスクワ音楽院でショパン・コンクール第1回の優勝者レフ・オボーリンに師事した人で,1963年からモスクワ音楽院の教授として、キーシンやギンジンはじめ多くの優れたピアニストを育て、近年は日本や欧米諸国でもマスタークラス開催ややチャイコフスキー・コンクールなどの審査員を務めている大家です.
そのミハイル・ヴォスクレセンスキーが,ベートーヴェンの最後のピアノソナタ3曲を弾くというので出かけました.
プログラムは,既に記した通り,
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第30番 ホ長調 作品109
ベートーヴェン:ピアノソナタ 第31番 変イ長調 作品110
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ベートーヴェン:ピアノソナタ 第32番 ハ短調 作品111
でした.
とても76歳には見えないで,ただ,ちょっと太りすぎの感じが見られる人でしたが,ピアノに向かうと,指の動きは,まことに正確で,時々上行のアルペジオが途切れがちにもたつく以外は,堂々たる演奏を展開してくれました.
とりわけ緩徐楽章,作品109の第3楽章,作品110の第3楽章,作品111の第2楽章は,まことにしっとりと優美に弾いてくれました.作品解釈というか演奏にはっきりした構成感が踏まえられていて,たいへん聴き応えがありました.
桐朋学園はじめマスター・クラスで日本でも多くのお弟子さんが育てられたようで,プログラム終了後2つも大きな花束が贈られていました.
ますますご健勝でさらなるピアノ教育へのご貢献を祈念したいと思います.
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