SSブログ

JTアートホール:向山佳絵子と仲間たち~「フィレンツェの思い出」を廻って [音楽時評]

11月29日,JTアートホールに,向山佳絵子と仲間たち~「フィレンツェの思い出」を廻って~を聴きに行ってきました.
何よりも強く印象に残ったのは,N響アワーなどで,指揮者の左前に座って弾いていて目立つ人だったN響の第2ヴァイオリン副主席大林修子さんが,室内楽の名手で,たいへん美しい音色で奏でる人だったことです.

メンバーは,
Violin:  山口裕之,大林修子
Viola:   井野邊大輔,飛澤浩人
Cello:   藤森亮一,向山佳絵子
と,いわば,N響の首席,副主席クラス5人と,向山佳絵子(藤森夫人)という気心の知れたメンバーが,JTアートホールのコンサートにしては1,2を争うくらいに練習とリハーサルを重ねて臨んでいたと思われました.

プログラムと演奏者は,
H.ヴォルフ:     イタリア風セレナード    山口,大林,井野邊,向山
A.P.ボロディン:  スペイン風セレナード    大林,山口,飛澤.藤森                   
E.ドホナーニ:    弦楽三重奏曲 ハ長調 Op.10「セレナード」  山口,井野邊,向山
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 Op.11より「アンダンテ・カンタービレ」
                                                         大林,山口,飛澤,藤森
           ※※※※※※※※

チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 ニ短調 Op.70「フィレンツェの思い出」  
全員
でした.


イタリア風セレナードは単一楽章ですが,歌曲を思わせる抒情的な曲でした.
スペイン風セレナードは,4楽章構成の弦楽四重奏曲を,リムスキー・コルサコフ,リヤードフ,ボロティン,グラズーノフが1楽章ずつ作曲したなかから,ボロディンの第3楽章をとったモノで,情熱的な彩りに溢れています.
ここで,大林さんの第1ヴァイオリンの美音にハッとさせられました.かつてN響C定期会員だった頃,彼女が開演前の室内楽公演に出ていたのを聴いたはずですが,いつもあまり早くは入場していなかったので,まともに大林さんの第1ヴァイオリンを聴いた記憶が残っていなかったのです.
チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」の大林さんの第1ヴァイオリンは,まことに優雅で美麗な演奏でした.
調べましたら,彼女は結構室内楽演奏に加わっているようですから,次の機会をぜひ見つけたいと思いました.

ドホナーニの「セレナード」は5楽章構成で多彩な作品ですが,特に,緩徐楽章の第2楽章がロマンティックな響きを聴かせていました.

今夜の中心は,「フィレンツェの思い出」でしたが,気心の知れたメンバーが,十分に練習し,リハーサルを重ねて臨んだようで,充実した演奏でしたが,ロシア的な,重厚な叙情と仄暗い哀愁に対して,イタリア風の明るい情熱的な迸りが織りなす幅広い音楽を聴かせる名演だったと思います.

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。